こんにちは。PANTSの滝口です。PANTSはふだん、ゲーム開発をしたり、商品やイベントをつくっています。この連載のタイトルは「思考のタガの外し方」。

まちおこしは、そのまち独自の魅力を掘り起こすこと。だから、他のまちのやり方をまねしても仕方がない。むしろ、「普通こうするよね」のタガを外して考えたほうがいいのではないか。

今回は大分県豊後大野市のアウトドアサウナの取り組み。単にサウナブームに乗っただけかと思いきや、そこには課題大国ニッポンの最先端をめざす壮大な野望があった。その野望に至るまでの2年間の苦闘とは?

前編はこちら
「サウナ体験編」
「国を動かす野望編」

サウナにたどり着くまでの2年間

高橋さんは東京にあるWeb制作会社「LIG」のグループ会社「LAMP」の社員。大分県が豊後大野市の山奥にある宿の指定管理業者を募集しており、LIGで業務を受託して2017年に豊後大野市へ来た。そこからサウナにたどり着く2019年までの約2年間は、どうしていたのだろうか。

※撮影時だけマスクを外していただきました
※撮影時だけマスクを外していただきました

高橋さん「最初はまちや自分たちのやっていることの情報を発信する、ってことを意識してましたね。ぼくがここに来た2017年に豊後大野市が市民提案型の共同事業を募集していたんで『豊後大野カンケイ協会』という団体とWebメディアをつくりました。観光協会をもじってるんですが」

「豊後大野カンケイ協会」Webサイトより
「豊後大野カンケイ協会」Webサイトより

「豊後大野カンケイ協会」は豊後大野市の人を取り上げるWebメディアだ。観光協会が発信するオフィシャルな情報では取り上げられない人の魅力を伝える。また、このメディアからさまざまなプロジェクトが生まれていくことももくろんでいた。しかし、なかなか思ったようなうねりにつながらない。飲食店に取材を申し込むと、否定的な反応をされることが多かった。

高橋さん「お店によって、外から人を迎え入れる“もてなし”の気持ちの温度差がある印象でした。農業が主な産業のこのまちで、生きていくのにお金はあまりかからないけれど、やっぱりお金が潤沢に回らないとゆとりが持てないんだろうなと。でも、それじゃまちを盛り上げることもできないんですよね。どうしたらいいのか、ってずっと考えてたなぁ」

コンテンツがないから外からお客さんを呼べない、という声もよく聞かれた。豊後大野は自然が多くキャンプ場も多いので、アウトドアのまちにしようと市や県に持ちかけたが、それもあんまり響かず、具体的なアクションに結びつかなかった。

夜な夜な仲間たちと集まりながら、高橋さんたちは考え続けた。市長の発信力を高める企画も考えた。

高橋さん「大西一史熊本市長って発信力がスゴいんです。あと福岡の高島宗一郎市長や別府の長野恭紘市長も。同じように、豊後大野市長の地位や知名度を上げて親しみを感じてもらえれば、人がもっとまちに来てくれるんじゃないかって考えて、市長と20代の若者が話し合えるスナックをやろうよって市に提案したんですがダメでした。スナック『川野文敏』*って名前だったんですけど。あと中学校の給食の時間に流れる放送を市長がジャックしようというのもボツになりました(笑)」(*編集部注:豊後大野市長の名前)

(提供:おんせん県いいサウナ研究所)
(提供:おんせん県いいサウナ研究所)

スナックの看板のイメージをつくって提案したが、企画は承認されなかった。隣町のイベントにマルシェを出店して豊後大野市をPRしたこともあった。

高橋さん「でも、隣町でやってるからそこにしかお客さんが来ないんです。当たり前ですけど。あれは悔しかったなぁ」

⾼橋さんはいろんな活動をするも、豊後⼤野を変えられずに2年がたとうとしていた。