高知の県民性が育む飲酒文化

 ひろめ市場は誕生してから20年以上が経過しました。ブームに乗った一過性の施設ではなく、まちに根づき、人々が日々集い、地域になくてはならない存在になっています。新型コロナウイルスの感染拡大前は、年間300万人ほどの来館者数を誇り、1日に最大約3万人が訪れていました。高知市内でもトップクラスの人気スポットです。

 にぎわい続けている理由について、ひろめ市場のテナント交渉や施設管理を行う有限会社ひろめカンパニー社長の大西直人さんは次のように語ります。

 「ひろめ市場を育ててくれたのは地元の皆さんです。地域の人々が飲んでいることを聞きつけて観光客も来てくれます。いい意味で、高知の人はとてもおせっかい。他所から来た人に楽しんでもらいたいと思っています。お酒を飲みながらあれこれと話すうちに、高知の飲酒文化に染まっていく──。そうした人たちがひろめ市場の評判を広げてくれています」

銀行員から公務員を経て、現在はひろめ市場の社長を務める大西直人さん(写真:塩見なゆ)
銀行員から公務員を経て、現在はひろめ市場の社長を務める大西直人さん(写真:塩見なゆ)
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 筆者も高知に行くたび、毎回ひろめ市場で地元の方々との交流を楽しませてもらっています。愉快な人が多く、高知の酒場情報もたくさん教えてもらいました。

 他の地方では観光で飲食店を訪れても、地元の人と交流できることはあまりありません。地元の人はそれほど観光施設に飲みに行かないものです。

 ひろめ市場で地元客が多いのは平日。約7割が近所の常連さんだと言います。地域活性化を目的とした飲食施設で、この数字には驚かされます。日常の酒場として使われている証しです。2階の駐車場に車を置き、帰りは運転代行を呼んで帰宅するという常連さんも多いそうです。

 「土日や祝日は客層が逆転し、県外から訪れた人が7割になります。席数は約500で、混雑時は満席になります。そのにぎわいぶりに圧倒され、席につけなかった人は、次こそリベンジしようと再訪してくれることもあります」(大西さん)

 ひろめ市場では地元客が日々集う酒場に観光客が入り混じり、交流を楽しんでいます。他では見られない特徴です。コロナ禍が収束した後、再び満員になったひろめ市場で、地元の皆さんとにぎやかに飲むことを楽しみにしています。