「店舗と協力してコロナを乗り切る」

 大勢の人が集まる酒場はコロナ禍による影響が大きいです。先の見えない状況を乗り越えるために、ひろめ市場はどのような取り組みをしているのでしょうか。大西さんに聞きました。

 「考えられる感染拡大防止策はすべて採用し、テナントの店舗と協力してコロナを乗り切る。そのため、2020年春の1回目の緊急事態宣言下ではひろめ市場を閉館し、テナント料ももらわないことにしました。開けなければならない時間を設定したルールはありますが、お客さんが来ないのに店を開けなさいというのはあまりに申し訳ないので、最低営業時間の取り決めも免除しています」

ひろめ市場には名物のかつお料理だけでなく、珍しいウツボたたき(写真の右下)、インド料理などもあり、さまざまなジャンルの飲食を楽しめる(写真:塩見なゆ)
ひろめ市場には名物のかつお料理だけでなく、珍しいウツボたたき(写真の右下)、インド料理などもあり、さまざまなジャンルの飲食を楽しめる(写真:塩見なゆ)
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 施設内を見渡すと、シャッターが下りている店がいくつかあります。その理由を大西さんは次のように説明します。「コロナ禍などの理由で4店舗が閉店しましたが、新規出店の要望も来ています。ただ、こんなときにオープンするのは大変ですから、落ち着くまでは新たな出店は待ってもらっています」

 出店の条件についても聞きました。「多店舗展開する企業やフランチャイズ店からの出店要請をもらうこともありますが、断っています。ひろめ市場ではできる限り、地元の方が1店舗目としてチャレンジする場所を提供したいという思いがあります。料理に決まりはありませんが、高知の食材を使用することは条件です」と大西さんは話します。

 コロナ禍のいま、入り口ではサーモグラフィーカメラで体温チェックを行っています。館内では食事以外でマスクをしていない人がいると、すぐにスタッフが着用を促す光景が見られました。午前中からお酒を飲む人が集まる場所と聞くと酔客の問題などを心配してしまいますが、ひろめ市場はしっかりケアできている印象を受けました。

 ひろめ市場には、高知の県民性がつくりだしたおきゃく文化が根づいています。酒場は人と人をつなぐ場所。まずは地元の人々に親しまれることが大切だと改めて思いました。

ひろめ市場
ひろめ市場では席数を減らして営業を続けている(撮影のため、短時間だけマスクを外しています)(写真:ひとまち結び編集部)
ひろめ市場では席数を減らして営業を続けている(撮影のため、短時間だけマスクを外しています)(写真:ひとまち結び編集部)
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筆者 塩見なゆ
酒場案内人。1984年、東京都杉並区荻窪生まれ。新宿ゴールデン街に通った作家の両親を持つ。幼いころより中央線沿線の飲み屋へ連れて行かれ、物書きの大人と瓶ビールに囲まれて成長する。会社員として広報・宣伝畑を経て独立。趣味だった飲み屋巡りを本業とし、飲食専門のライターとなる。酒場に恋して年間2000軒を巡る。

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