酒は人を結び、まちを元気にする。酒場案内人の塩見なゆさんが、酒をテーマににぎわう各地のまちを訪ねます。今回は鳥取市。山陰道沿いに居酒屋が出店している道の駅があります。今回は「こんなところで居酒屋?」と驚く場所から、地元の魅力を発信する企業を取材しました。

 JR鳥取駅からバスで30分ほど。めざすは白兎(はくと)海岸沿いの山陰道(国道9号)沿いにある「道の駅 神話の里 白うさぎ」です。

鳥取県鳥取市白兎 にある「道の駅 神話の里 白うさぎ」
鳥取県鳥取市白兎 にある「道の駅 神話の里 白うさぎ」
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 ここは、全国でも珍しい海鮮居酒屋を中心とした道の駅です。施設内には同じ会社が経営するカフェ「すなば珈琲」や土産物店、コンビニエンスストアも出店していますが、メーンの店は居酒屋なのです。

 公共交通手段は、本数が心もとない路線バスのみ。利用者の多くが自家用車を使うロードサイド店です。そんな道の駅でなぜ海鮮居酒屋を開いているのでしょうか。運営元のぎんりんグループ、有限会社三晃 専務執行役員の東田 慶さんにお話を伺いました。

有限会社三晃 専務執行役員の東田 慶さん(写真:塩見なゆ)
有限会社三晃 専務執行役員の東田 慶さん(写真:塩見なゆ)
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塩見御社の概要や道の駅に関わった経緯を教えてください。

東田さん当社は1997年創業で、JR鳥取駅前で生簀(いけす)の活魚を提供する居酒屋「ぎんりん」の営業から始まりました。地元のみなさんには、鳥取の活魚が食べられる店として認知され、県外から来られた方の宴会や接待などでも利用していただけるようになりました。また、2006年に鳥取市が「道の駅 神話の里 白うさぎ」を開設した際、当社は指定管理者に指定されました。

塩見道の駅には開業時から居酒屋を出店していたのですか?

東田さん2006年の開業時は当社が運営する居酒屋業態の「ぎんりん亭」が2階にあり、1階には別の企業が運営する干物や魚を販売する鮮魚店が出店し、2社体制で施設を運営していました。市との契約は5年単位で更新しており、第2期が始まる2011年に鮮魚店が撤退することになり、それ以降は当社が1階も含めた道の駅全体の指定管理者となっています。また、「道の駅 きなんせ岩美」など、県内のほかの道の駅にも出店しました。当社が得意とする鳥取の水産物を使った料理は、県外からお越しになるお客さまに好評です。今後も、道の駅は重要な出店候補だと考えています。行政も当社も、道の駅で地元の魅力をPRするのが目的の一つだと考えています。

塩見道の駅で居酒屋という業態は珍しいですね。

東田さん道の駅で居酒屋を出店してはいけないという規定はありません。ドライバーさんはノンアルコールの飲み物で我慢し、同乗者がお酒を注文されるグループが多いです。この道の駅は車中泊も可能なので、車を一晩止めて、「ぎんりん亭」の居酒屋利用を満喫される人もいます。地元の方は、仕出しでの注文や、法事の会食、近隣のゴルフ場から送迎バスでお越しになるようなかたちでご利用いただいています。

塩見県外のお客さんは、どこから来る人が多いのでしょうか?

東田さん圧倒的に関西圏の方が多いです。コロナ禍以降は、関西からの旅行者が回復することをひたすら耐えて待ち続けています。11月からはカニがおいしいシーズンなので、ぜひお越しいただきたいと思います。コロナ禍以前は、中国をはじめとする海外から来られる方も多くいらっしゃいました。インバウンドのお客さまは以前のようなバスツアーではなく、家族や個人単位で旅される人も増えてきていました。道の駅は、遠方からの旅行者にとっても、安心して利用できる一種のブランドになっているように感じています。

塩見地元に根付いた御社の取り組みや強みを教えてください。

東田さん海鮮居酒屋として創業した当社は、県内の漁港や市場の買参(ばいさん)権・仲買(なかがい)権を取得するなど、地元の魚介類を使った生簀料理に力を入れてきました。特に鳥取名物のシロイカは、漁港に帰ってきたイカ釣り漁船に自社の生簀トラックを横付けし、店舗まで直接、配送しています。賀露(かろ)港や赤碕(あかさき)港などから仕入れた地魚をはじめ、境(さかい)港のマグロやフグ、冬季は品書きに加わる松葉ガニなども、特に県外のお客さまに好評です。お酒は地縁がある「千代むすび」などの地元銘柄をそろえています。