新しい開拓者を応援する

 インターネットで小口の事業資金を募るクラウドファンディングは、徐々に社会に定着してきました。筆者も行きつけの飲食店が企画したクラウドファンディングに出資したことがあります。サッポロビールも2019年から北海道を盛り上げようと「クラウドファンディング」に似た企画を始めています。その応援の名前は「カンパイ★ファンディング」。文字通り、ビールを飲んで挑戦者を応援しようという取り組みです。

 挑戦する人は「ほっとけないどう」というイベントに登壇して「こんなことをやりたい!」とアピールし、応援する人はビールを飲むことで挑戦者に寄付が届くという仕組みです。

 これまではイベントや札幌・大通にある「大人座・ほっとけないどうBAR」でビールを飲むことで支援ができていましたが、今は新型コロナウイルスの感染防止のため、ECサイトで「サッポロSORACHI1984 カンパイ★ファンディング缶」を購入して応援できるようになりました。

大人座・ほっとけないどうBARで、ほっとけないどうの初回挑戦者の柴田アリサさんと北海道事務局代表の五十嵐慎一郎さん(撮影のため、短時間だけマスクを外しています)(写真:塩見なゆ)
大人座・ほっとけないどうBARで、ほっとけないどうの初回挑戦者の柴田アリサさんと北海道事務局代表の五十嵐慎一郎さん(撮影のため、短時間だけマスクを外しています)(写真:塩見なゆ)
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 ほっとけないどうは具体的にどんな取り組みなのでしょう。実際にチャレンジした人の感想も気になります。そこで、「大人座・ほっとけないどうBAR」で、ほっとけないどうの北海道事務局代表の五十嵐慎一郎さんと、初回挑戦者の柴田アリサさんに話を聞きました。

塩見「ほっとけないどうのキャッチコピー『どうなっちゃうの?をやっちゃうの!』の企画に込めた思いを教えてください」

五十嵐さん「北海道の挑戦者を応援するメディア&コミュニティーとして2019年6月にスタートしました。スタートアップイベントのような限られた人が挑戦するものではなく、幅広い層がいろいろな企画を持ち寄り、ビールを飲みながら応援してもらえたらいいなということから始まりました。ファンディングの寄付だけでなく、挑戦者同士や応援する人たちによるコミュニティーが生まれることも目的です」

塩見「『お菓子×IT』というこれまでにない組み合わせの会社『TREASURE IN STOMACH』の代表をしている柴田さんは、ほっとけないどうの初回挑戦者です」

柴田さん「アレルギーやビーガン、ムスリム向けのお菓子について、販売とWebプロモーションなどを行っています。最近はYouTubeで台湾向けに北海道のプロモーションムービーなども発信しています。ほっとけないどうの企画を知り、初回にチャレンジして選ばれました。当日はイベント会場がいっぱいになるほどの人が訪れて、すごいにぎわいでした。ほっとけないどうを通じていろいろなつながりができたことは大きいです」

「ほっとけないどう」のロゴは、挑戦者が立てるフラグと応援者が持つメガホンをモチーフにしている(写真:塩見なゆ)
「ほっとけないどう」のロゴは、挑戦者が立てるフラグと応援者が持つメガホンをモチーフにしている(写真:塩見なゆ)
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 柴田さんと五十嵐さんは2人とも北海道の出身。東京の大学を卒業し、東京の会社に就職した後、地元北海道に貢献しようと戻ってきました。テレワークの定着でいろいろな働き方ができるようになった今、新しいかたちで挑戦する「北海道の開拓者」も増えています。

 世界的に空知(ソラチ)の名を広めた新しいホップの研究や、ソラチエースでつくったビールで挑戦者を応援する取り組みも、ともにあるのは「開拓精神」です。

 ほっとけないどうは、おいしいビールをつくりたいという夢と、地域を盛り上げたいという夢がひとつにつながった活動です。挑戦する人たちの輪の真ん中にはビールがありました。

ほっとけないどう
筆者 塩見なゆ
酒場案内人。1984年、東京都杉並区荻窪生まれ。新宿ゴールデン街に通った作家の両親を持つ。幼いころより中央線沿線の飲み屋へ連れて行かれ、物書きの大人と瓶ビールに囲まれて成長する。会社員として広報・宣伝畑を経て独立。趣味だった飲み屋巡りを本業とし、飲食専門のライターとなる。酒場に恋して年間2000軒を巡る。