コロナ禍にもかかわらず売り上げを伸ばし、若い世代の移住者やサポーターが集まり、全国に関係人口を増やし続ける──。地方創生の理想を体現するかのような場所が、長野県諏訪市にある。その名は「ReBuilding Center JAPAN(リビルディングセンタージャパン)」。「ReBuild New Culture」を合言葉とする独自のビジネス哲学に基づき、解体が決まった建物や空き家となった建物から建材や家具などを回収、それを修繕し販売する。活動を支えるサポートスタッフ「サポーターズ」の参加者は、延べ3000人にも及ぶ。同じスタイルの事業を立ち上げる動きも各地で起きつつある。良いものを未来につなぐ持続可能なムーブメントの起点を取材した。

リビルディングセンタージャパンの外観。ちょうど引き取り作業を終えたスタッフが軽トラックに古物を積んで戻ってきたところ(写真撮影:栗栖 誠紀)
リビルディングセンタージャパンの外観。ちょうど引き取り作業を終えたスタッフが軽トラックに古物を積んで戻ってきたところ(写真撮影:栗栖 誠紀)
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 株式会社リビルディングセンタージャパン(通称リビセン)の本拠と実店舗は、東京・新宿駅からJR特急あずさで約2時間の上諏訪駅から徒歩10分の場所にある。車がなくても、電車で駅弁を食べながら気軽に行けるアクセスの便利さが特徴だ。

 実は筆者は、年に2、3度この地に立ち寄る諏訪地方ファン。リビセンの魅力を知ったのは、4年半前。下諏訪在住の友人に連れられて来たのがきっかけで、リピートするようになった。

 リビセンは解体された古民家などから建材や家具などを引き取って、分類、掃除してから販売する。フロア面積約1,000m2の建設会社のビルを改装したリビセンの建物は、1階から3階までが古材と古物の百貨店のよう。米国ポートランドにある本家「ReBuilding Center」から屋号の使用許可と日本国内で同形態のビジネスを展開することについて承認を得て、2016年10月に創業した。

リビセン1階の古材売り場入り口(写真撮影:栗栖 誠紀)
リビセン1階の古材売り場入り口(写真撮影:栗栖 誠紀)
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木製の窓枠、扉が並ぶ一角。年代物のソファも(写真撮影:栗栖 誠紀)
木製の窓枠、扉が並ぶ一角。年代物のソファも(写真撮影:栗栖 誠紀)
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窓用のガラスも種類、サイズごとに分類されている(写真撮影:栗栖 誠紀)
窓用のガラスも種類、サイズごとに分類されている(写真撮影:栗栖 誠紀)
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食器類や家具、鏡など、かつて人々の暮らしと共にあった品々。鹿の剥製のオブジェなどもある(写真撮影:栗栖 誠紀)
食器類や家具、鏡など、かつて人々の暮らしと共にあった品々。鹿の剥製のオブジェなどもある(写真撮影:栗栖 誠紀)
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リビセンスタッフが手を加え、センス良く生まれ変わった椅子。古材と古いガラスから手作りしたオリジナルのフレーム(写真撮影:栗栖 誠紀)
椅子の張り替え屋さんとスタッフとで協働して手を加え、センス良く生まれ変わった椅子。古材と古いガラスから手作りしたオリジナルのフレーム(写真撮影:栗栖 誠紀)
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 「EVERYONE WELCOME!」と入り口に書かれた1階左のスペースは、床板、トタン、短め古材、一枚板、300円古材、製材古材、柱、「ナイス雰囲気古材」が分類される売り場。他方、2階と3階には、窓用のガラス、扉、ドアノブなどのパーツから、食器や黒電話、ガラス瓶などの日用品、椅子やテーブルなどの家具、子どもの玩具、将棋盤など、かつて人々の暮らしと共にあったさまざまなものが所狭しと並ぶ。古材を使ったオリジナル家具などもある。

 ここで材料や家具をそろえれば、世界で一つだけの雰囲気のいいレトロな店舗や部屋をDIYできるし、広告や映画の美術などに役立つものも多い。もちろんオンラインストアも完備しているので、遠方の人も購入できる。

 空間や置かれた古材・古物のセンスの良さはもちろんだが、何よりも素敵なのは、古くて良いものが廃棄されずに未来に継承されること。リビセンでは古い建物から古材や古物を回収することを「レスキュー」と呼んでいる。古材や古物をなるべく同じ地域内で再利用することで、ごみや輸送コストを減らせる。環境負荷を減らすという「救助」活動になるうえ、新たな時代を支える資源にもなる、というのが言葉の裏にある考え方だ。

 コロナ禍で少しご無沙汰してしまっていたが、そろそろ諏訪に、と思っていたら、リビセンから「コロナ禍にもかかわらず業績が好調で、しかも新しい広がりが生まれている」との情報が入ってきた。

 居ても立ってもいられず、新宿から特急あずさに飛び乗った。