焼酎を盛り上げる独自企画がスタート地点

 鎹の名は、佐野明政氏。ビームス ジャパン プロジェクトリーダーの肩書を持つ彼は、日本の魅力を世界に向けて発信することをミッションに、全国の自治体や企業と連携しながらさまざまなプロジェクトを仕掛けている。

ビームス ジャパン プロジェクトリーダーの佐野明政氏(写真:小口正貴)
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 きっかけは、「焼酎のススメ。」という企画だった。2019年、本格焼酎の楽しみ方を提案するプロジェクトとして好評を博したもので、米焼酎「白岳KAORU」の高橋酒造(熊本県)、麦焼酎「いいちこ」の三和酒類(大分県)、芋焼酎「白波」の薩摩酒造(鹿児島県)と協力。ビームスの店舗でオリジナルデザインのカップ焼酎やコラボTシャツなどを販売した。

2019年の「焼酎のススメ。」で販売したオリジナルのカップ焼酎。イラストを手がけたのは”女優・創作あーちすと”ののん(出所:ビームス)
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 だが2020年、第2弾の企画検討段階で新型コロナウイルス感染症が拡大。飲食店はみるみるうちにダメージを受け、中でも飲酒を伴う“夜の店”は目の敵にされた。その傾向は今でも続いているが、1年前の風当たりは相当なものだった。

 「企画を練っていたとき、ちょうど1度目の緊急事態宣言が出て、夜のまちそのものが悪者になってしまった。でもお酒には、家の外で知らない人同士が会話を交わし、仲良くなれる醍醐味がある。こんなときだからこそ、お酒がある時間の楽しみ方を大切にしたいと思った。

 そこで着目したのが新宿ゴールデン街。新宿にあるビームス ジャパンの旗艦店からも近く、サブカルチャーの発信地となったこのまちは今回の企画にぴったりだった。小さいスナックやバーがひしめき、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けているお店も多く、一緒になって少しでも元気づけられればとの思いもあった」(佐野氏)

 新宿ゴールデン街の組合理事会との初接触は2020年6月。ビームスからの提案は快く受け入れられたが、いつもであれば開催できるスタンプラリーのような送客施策は難しいとくぎを刺された。当初は感染症対策で飲み屋街の中に手洗い場を設ける案も浮上したものの、不特定多数が訪れる場所ではかえってリスクが高いとのことでお蔵入りになった。

 「足繁く通う中で新宿三光商店街振興組合の理事長が、新宿区の助成金を活用して看板をLEDに変えたいと話してくれて。その話を聞き、『ビームスには優秀なクリエイターがいる。ぜひその看板デザインをやらせてもらえないか』と申し出た。『焼酎のススメ。』の連動企画とするなら、目に見える成果物があるほうが効果的と思ったからだ」(同)

 ところがよくよく聞いてみると、新宿ゴールデン街の商標を関係者ではない第三者(以下、A氏)が持っていることが判明した。