地元の小学5年生が公園をアップデート

 2019年5月には「つくる篇」と題し、100本のスプーンの契約農家である生産者の小泉清氏とともに子どもたちと畑づくりワークショップを実施。並行して施工会社の力も借りながら、滑り台などの遊具やひみつの小屋、円形のテーブルなどを備えた立派なつくりの公園が完成し、お披露目会では大勢の家族の笑顔があふれた。「『あの公園をつくった』という何物にも代えがたい体験を提供できたことは我々の誇り」と宮川氏は振り返る。

公園のお披露目会ではしゃぐ子どもたち(写真提供:スマイルズ)
公園のお披露目会ではしゃぐ子どもたち(写真提供:スマイルズ)
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 ここで公園づくりプロジェクトはひと区切りとなったが、そもそもの「つくる篇」のコンセプトが「つくり続ける公園」である。第1段階から1年後の2020年7月、あざみ野店の地元である黒須田小学校5年2組の児童から「100本のスプーンの公園を、より魅力的な場所にして、自分たちのまちに元気を与えたい」とのオファーが舞い込んだ。しかも、総合的な学習の時間(以下、総合学習)を使って継続的に関わりたいとの申し出だった。

 「前回の公園づくりプロジェクトに参加した児童がたまたま5年2組にいたそうだ。総合学習で何をしたいかをクラスで話し合った結果、あざみ野店の公園をアップデートしたいとのテーマに決まったと聞き、プロジェクト型学習を地元の小学校と一緒にできるなんて願ってもない機会だと歓喜した」(宮川氏)

 「あざみ野 チアアッププロジェクト」と名付けた取り組みは、約8ヵ月にわたり2021年3月まで実施した。断続的だった第1弾と異なり、週1回のペースで総合学習に関わるだけに、スマイルズのスタッフも小学校に複数回足を運んで、交流するなど密度はだいぶ高くなった。

 たくさんのアイデアから、新たな遊具や遊びの考案、畑や花壇の整備、さらには100本のスプーンの新メニュー企画・開発など5つのプロジェクトを採用し、公園のブラッシュアップに成功した。児童を牽引した黒須田小学校の主幹教諭である迎田悠祐先生は「メニュー開発、畑や花壇づくりなどは学校の中では成し得ない背伸び体験。10年後の記憶に残る時間にしたかった」と総括した。

黒須田小学校の児童によってカラフルにアップデートした公園(写真提供:スマイルズ)
黒須田小学校の児童によってカラフルにアップデートした公園(写真提供:スマイルズ)
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 「地元だけあって、子どもたちが自主的に草むしりをしに来てくれたり、遊びにも来てくれた。スタッフと仲良くなった子どももいて、“子どもの常連さん”ができたことは私たちにもかけがえのない財産になった。高校生、大学生になってアルバイトに来てくれたら本当にうれしい」と蓑毛氏。地元の小学生たちが、この公園を社会参加の場として継続的に活用していけば、前述のドイツの事例にも勝るプロジェクトになるかもしれない。

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