サウナといえば男性が好むイメージがありましたが、サウナブームで多彩なサウナが登場し、男性だけでなく女性の利用客もどんどん増えています。銭湯の元番頭で絵描きの塩谷歩波さんが、全国にある地域色豊かなサウナを訪れ、まちや人との関係を解き明かします。今回は長野・野尻湖畔にあるログハウス型のサウナを訪れました。薪(まき)ストーブ、黒姫山の伏流水をかけ流す天然の水風呂、自然の移ろいを味わえる外気浴をたっぷり楽しんできました。

 長野県の野尻湖のほとりにログハウス型のサウナ「The Sauna」がオープンしたのは、2019年2月のこと。「自分でロウリュができて、湖に飛び込んだり木々の間で外気浴を楽しんだりできるサウナはここしかない」と、たちまちサウナ好きの間で話題になりました。ロウリュとは、ストーブに水をかけて蒸気を発生させること。いまや予約の取れない人気サウナになっています。

 サウナを2つ、樽(たる)型の水風呂を4つ設置しています。サウナ後にゆっくりくつろげるドーム型の休憩室もあります。さらに、今年(2022年)からは新しい2つのサウナも稼働開始の予定。今回は進化を続けるThe Saunaを紹介します。

サウナ小屋「カクシ」。写真は2021年11月に撮影したもの(写真:塩谷歩波)
サウナ小屋「カクシ」。写真は2021年11月に撮影したもの(写真:塩谷歩波)
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 しなの鉄道北しなの線の黒姫駅から車で約10分。別荘が立ち並ぶ細い道を進み、左手に野尻湖が見えてくるとゲストハウスLAMPに到着します。The Saunaは、LAMPの敷地内に建てられたサウナ小屋です。駐車場に車をとめたら、まずはLAMPのカウンターでサウナの受付へ。

 寒い季節は外気浴中に体が冷えすぎてしまうため、受付でポンチョや大きめのタオルをレンタルするのがオススメです。The Saunaは男女共用のサウナ小屋なので、受付後は浴室で水着に着替えます。サウナハットやタオルを持って、さあサウナへ!

ゲストハウスLAMPの外観(写真:塩谷歩波)
ゲストハウスLAMPの外観(写真:塩谷歩波)
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 LAMPの裏口を出て、最初に目に入るのはサウナ小屋「ユクシ」。このサウナを最初につくったので、フィンランド語で「1」を意味するユクシという名前がつけられました。三角屋根の、すすけた色合いの丸太でつくったログハウスです。そばにあるサウナハットをかぶった木彫りのクマちゃんは、The Saunaのシンボルになっています。

サウナ小屋「ユクシ」。夏に来たときは、木彫りのクマちゃんの足元にポピーが咲いていました(写真:塩谷歩波)
サウナ小屋「ユクシ」。夏に来たときは、木彫りのクマちゃんの足元にポピーが咲いていました(写真:塩谷歩波)
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 ユクシに入ります。中央に設置したサウナストーブを挟むように、高めのベンチを2つ置いたシンプルな構造。窓はサウナストーブ脇にある小さなものだけで、扉を閉めると室内は昼でも暗くなり、静かに燃えるストーブの火が印象的です。パチパチと薪(まき)がはぜる音も心地よく、火のゆらめきを眺めているだけで、心が落ち着いてきます。

ユクシの内部。サウナ番のスタッフさんが、適宜新しい薪を入れてくれます(写真:塩谷歩波)
ユクシの内部。サウナ番のスタッフさんが、適宜新しい薪を入れてくれます(写真:塩谷歩波)
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 室内の温度は85~90℃ですが、ストーブの熱源が近くにあるので体感温度はやや高め。ベンチ上に置かれたアロマ入りの水をロウリュすると、湿った熱が一気に室内を温めます。ストーブの脇の席はロウリュ直後の熱を直接的に感じることができ、反対の扉側に座るとロウリュの香りを長く楽しむことができます。

The Sauna「ユクシ」の図解。塩谷歩波が制作(資料:塩谷歩波)
The Sauna「ユクシ」の図解。塩谷歩波が制作(資料:塩谷歩波)
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 小川を挟んでユクシのはす向かいにあるのが、サウナ小屋「カクシ」。ユクシの1年後に建てたもので、フィンランド語で「2」を意味します。こちらは平屋のユクシと異なり、2階建て。見た目も、ユクシより縦長のつくりになっています。