記事の主題を直感的に表現した、動的なインフォグラフィックス。地域経済と日本、世界経済との結びつきをやさしく解説する文章。地方紙「デーリー東北」の特別紙面「Economic Monday(エコノミック・マンデー)」が話題を呼んでいる。2017年度に「グッドデザイン賞」を受賞、この2019年10月には通算50号を迎える。地元・八戸の特色を強みに変えたメディア企業、そしてメディアから見た地域の将来を、デーリー東北新聞社・荒瀬潔社長のインタビューを通して見ていく。

Economic Mondayの紙面。地域の産業と日本全体あるいは世界の経済がどう結びついているのかを解説する。こちらは2017年10月の記事「消えたスルメイカの謎」。同時期にグッドデザイン賞を受賞した。(画像提供:デーリー東北新聞社)

 東北地方の主要都市の1つで、太平洋に面した中核市・青森県八戸市。ここに本社を置く新聞社、デーリー東北新聞社が特徴的な紙面を展開しており、話題を呼んでいる。その名も「Economic Monday(エコノミック・マンデー)」。毎月1回、第一週の月曜日に本紙「デーリー東北」を包む形で届く。カラー4面分からなるこの紙面、動的なインフォグラフィックス、そして八戸周辺地域と日本全国、あるいは世界経済の結びつきをやさしく解説する紙面で、2017年度の「グッドデザイン賞」を受賞した。この10月7日の発行号で通算50号を迎える。

「デーリー東北というメディアの使命は、地域をつなぐこと」。こう語るのは、荒瀬潔代表取締役社長である。2013年に社長就任後、経営改革と共にこのEconomic Mondayを仕掛けたキーパーソンだ。

 全国各地にある地方紙は、紙メディアの衰退、地方の衰退という2つの逆境にさらされている。それでも地域の情報発信を司り、「地域をつなぐ」(荒瀬社長)というメディアの役割はなくならない。2020年に創立75周年を迎えるデーリー東北が目指すものは何か。荒瀬社長へのインタビューを通じて、地域の特色を強みに変えたメディア企業と、地域の可能性を見る。

「Economic Monday(エコノミック・マンデー)」は新聞大の紙面に、カラーのインフォグラフィックスが大きく配されており、目を引きます。2015年8月31日から発行し始めて、いよいよ通算50号を迎えようとしています。なぜ、このエコノミック・マンデーを立ち上げようと考えたのでしょうか。

荒瀬 「会社の雰囲気を変えたい」と思ったことが発端です。私が2013年に社長に就任する前後のことですが、当時、社内が内向きになってしまっている雰囲気でした。社員はリスクばかりを気にしており、どこか自信をなくしているように見えたのです。社長に就任した時、まずはこれを変えなきゃいけないなと思いました。

デーリー東北新聞社の荒瀬潔社長(写真撮影:井深裕介)

 社長になってまもなく、八戸市出身のクリエイティブ・ディレクターである関橋英作さんに電話しました。関橋さんはネスレのチョコレート菓子「キットカット」のマーケティングを成功させたことで有名です。

「経営としては大きな問題もなく利益も出ている。けれども少子高齢化の流れの中、必ずしも明るい材料ばかりではない。社内の閉塞した雰囲気も変えたい」。私からはざっくばらんに、いろいろなことを相談しました。

 話をしているうちに「デーリー東北の新しいブランディングを考え、それを通じて会社を変えられないか」というアイデアに行き着きました。そこで社内でワークグループをつくり、関橋さんにもお出でいただいて議論を始めました。

 さらには関橋さんを通して、Hotchkiss(ホッチキス)という広告プロダクションで社長を務める水口克夫さんという方にもご協力をいただけることになりました。水口さんはデザイナーとして多数の広告賞を受賞されています。水口さんのご判断により派遣されたプロデューサーとデザイナーさんの2人、そして関橋さん、当社の社員によるチームで、ブランディングと紙面の在り方を同時並行で考えることになりました。新聞社として会社を変える覚悟を示せるのは、やはり新聞の紙面ですので。