人がより幸せに暮らし、より幸せに働くためには、何が必要だろうか。「何をするか」「誰とするか」「どこでするか」という3つの観点から、地域固有の魅力を捉える「地域資本主義」を提唱しているのが、鎌倉に本社を置くIT企業・面白法人カヤックだ。カヤックが唱える地域資本主義に耳を傾けながら、人、組織、地域の切っても切れない縁について探ってみよう。
どんな人にも、どんな組織にも、活動の場所は必要だ。人が幸せに暮らし、働くためには、地域と人・組織との間にどのような関係性があるのか、それを見定めることが欠かせない。
コンテンツ開発企業として創業から22年目を迎え、上場企業として唯一、神奈川県鎌倉市に本社を置く面白法人カヤック。その名に冠した「面白コンテンツ」づくりが主要事業。これまでのコンテンツづくりで、数々のクリエイティブ賞を受賞してきた。
最近話題を呼んだのは、2019年3~9月に横浜市で開催した「うんこミュージアム」だ(アカツキライブエンターテインメントと共同企画)。パステルカラーの巨大なうんこ型オブジェを配置し、楽しめる空間を演出。これにより当初計画の2倍以上を動員したという。2019年8月には東京・台場のダイバーシティ東京内に第2弾となる施設を開設。2020年春頃までに35万人の集客をめざす。なお2019年10月には中国・上海にもオープンした。
観光地として有名な鎌倉にカヤックが本社を置いたのは2002年のこと。創業メンバー3人が学生時代から好きだった場所とのこと。そのような「好き」を追求している企業が株式市場にまで上場したところも興味深い。
そんなカヤックは2018年11月に書籍『鎌倉資本主義』(発行・プレジデント社)を出版。地元・鎌倉のコミュニティーと共に、新しい価値の捉え方を提示した。従来の金銭的・物質的な価値を見る「地域経済資本」に加え、人のつながりに着目する「地域社会資本」、土地の文化や自然を評価する「地域環境資本」。これら3つを“資本”と捉え、総合的に評価しようという考え方だ。
その「鎌倉資本主義」を2019年には「地域資本主義」とし、日本全国に展開できるユニバーサルな考え方として、世に問おうとしている。
カヤックは鎌倉という地で何を得たのか。恩恵をどう還元しようとしているのか。そして、自らが唱える「鎌倉資本主義」「地域資本主義」をどのように具現化しようとしているのか。創業メンバーの1人、代表取締役CEO・柳澤大輔氏の声に耳を傾けながら、人を幸せにする組織や地域のあり方を探る。