著作権者とのライセンス契約で「アニメアンバサダー」実現

 『宇宙よりも遠い場所』は放映された2018年10月に、アニメツーリズム協会から「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2019年版)」に認定され、前述の通り12月にはニューヨーク・タイムズから「2018年 最も優れたテレビ番組(The Best TV Shows of 2018)」の海外番組部門の10作品の一つに選出された。

 館林市も2019年から、本格的にアニメを生かしたまちづくりへの取り組みを進め始めた。4月には、館林市役所の前に『宇宙よりも遠い場所』のアニメ聖地に館林市が選ばれたことをPRする横断幕と、つつじが岡ふれあいセンター内にキャラクターたちの等身大のパネルを設置した。また、すでに聖地巡礼に来るアニメファンも目立っていたので、つつじが岡公園内のふれあいセンターの一角に、ファンが描いた似顔絵やイラストなどの創作物を展示するコーナーを設けている。「5月のつつじまつり開催時には、作品の主要なスポットとなっている東屋でアニメ聖地認定プレートの贈呈式を開催し、市民や全国から訪れたファン立ち会いのもと、市長がアニメツーリズム協会から認定プレートを受け取りました」(中村氏)。

つつじが岡ふれあいセンター内に置かれた「キャラクター等身大パネル」(撮影:元田 光一)
つつじが岡ふれあいセンター内に置かれた「キャラクター等身大パネル」(撮影:元田 光一)
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「キャラクター等身大パネル」のそばには、ファンによる創作物がびっしりと展示されている(撮影:元田 光一)
「キャラクター等身大パネル」のそばには、ファンによる創作物がびっしりと展示されている(撮影:元田 光一)
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 2019年は、地元で開催された祭りやイベントの会場にキャラクターたちの等身大パネルを持っていき、市民に対してアニメのPR活動を行った。

 そして、2020年には初めて『宇宙よりも遠い場所』の公式イベントを、アニメツーリズム協会との共催事業として開催。また、海外での作品の人気の高まりも受け、コロナ禍前には海外からの留学生を招き、スタンプラリーをしながらアニメ聖地も含めた館林市の名所・観光スポットを紹介するモニターツアーも開催した。

作品の舞台にもなった館林市の茂林寺は、もともとおとぎ話「ぶんぶく茶釜」の寺として広く知られており、総門から山門に続く参道に置かれた21体の信楽焼の狸像も作品中に描かれている(撮影:元田 光一)
作品の舞台にもなった館林市の茂林寺は、もともとおとぎ話「ぶんぶく茶釜」の寺として広く知られており、総門から山門に続く参道に置かれた21体の信楽焼の狸像も作品中に描かれている(撮影:元田 光一)
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茂林寺の境内には作品のファンがいろいろな思いを書き込んだ「巡礼ノート」が置かれている(撮影:元田 光一)
茂林寺の境内には作品のファンがいろいろな思いを書き込んだ「巡礼ノート」が置かれている(撮影:元田 光一)
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 「2020年春の緊急事態宣言が発出される直前に『宇宙よりも遠い場所』の舞台探訪マップを作成しましたが、その状況下でもあっという間にマップがなくなるほどの人気でした」(中村氏)。

 その後はコロナ禍の影響でアニメ聖地としての誘客はできなかったが、2021年1月には館林市が当初からめざしていた『宇宙よりも遠い場所』の著作権者とのライセンス契約を結び、登場人物となった4人の女子高生たちを館林市の広告塔として「館林アニメアンバサダー」に就任させている。また、館林市は以前から『宇宙よりも遠い場所』を地元でも広く視聴できるよう画策していたが、ついに2021年2月1日から群馬テレビにて放映が開始された。

2021年1月28日に行われた「館林アニメアンバサダー」就任式には館林市の須藤和臣市長(右)と、アニメツーリズム協会の鈴木則道専務理事(左)が出席した(写真提供:館林市)
2021年1月28日に行われた「館林アニメアンバサダー」就任式には館林市の須藤和臣市長(右)と、アニメツーリズム協会の鈴木則道専務理事(左)が出席した(写真提供:館林市)
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