「湯治」を原点とした「ヘルスツーリズ厶」は、心と体の健康を取り戻すことを目的とした旅だ(前編はこちら)。四季折々の自然や食材、温泉などに代表される地域の豊かな自然を、健康資源として体験したり味わったりして楽しむ。最近では、さらに健康を総合的に捉えた「ウェルネス」の概念で旅の力を生かす「ウェルネスツーリズム」にも注目が集まっている。心と体の健康を取り戻すのに最適な環境を提供する沖縄で、本格的にウェルネスツーリズムに取り組んでいる宿泊施設がある。

リゾートホテルに宿泊しながら体質改善

 ヘルスツーリズムとウェルネスツーリズムは、健康を取り戻す旅という意味では同じように思えるが、そもそも「ウェルネス」とは健康を身体の側面だけでなく広義に捉えた概念で、「輝くように生き生きしている状態」とも言われている。ヘルスツーリズムでは含まれなかった、ダイエットやアンチエイジングなどのプログラムを組み込んだ旅行パッケージも、リフレッシュして明日への活力が得られるならウェルネスツーリズムの一つと言えそうだ。

 2018年に新設された南城市役所の目の前にある「ウェルネスリゾート沖縄休暇センター ユインチホテル南城」は、もともとは厚生年金の休暇センターだった。2009年に医療法人であるタピックグループが継承し、新館増設分を加えて計147室の客室を備え、キャンプ場やテニスコート、グラウンドゴルフコース、温泉施設、植物園などを有したリゾートホテルとして運営している。

太平洋を見下ろせる高台にある「ユインチホテル南城」は35,000坪の敷地にキャンプ場や温泉施設などさまざまな施設を有する(写真提供:ユインチホテル南城)
[画像のクリックで拡大表示]

 ユインチホテル南城では、これまでにもさまざまな健康への取り組みを進めてきた。例えば、2015年には「体質改善プログラム」として、健康診断などでメタボリックシンドロームと判断された人の体質改善を図るプログラムを商品化した。プログラムでは、まずドクターがメタボリックとは何かについて説明し、チェックイン時にメディカルチェックが行われる。ホテル滞在中は、スポーツ施設で運動の指導があり、管理栄養士と料理長が連携してカロリー計算された食事が提供される。2泊3日のプログラムではあるが、短期間での成果を出すよりも、ホテルを出てから日常の生活に戻った後に、生活習慣を少しでも意識付けさせることを目的とした。

 ユインチホテル南城総支配人の砂川卓郎氏によると、こうしたプログラムである程度運動しながら食事も制限すると、「個人差はあるが体重の変化が見られることもある」という。食事についても、1日に摂取すべきカロリーについて指導を受けると、館内レストランのバイキングで食事をする際にも、だいたいこれくらいだったら1食あたりのカロリー摂取量は十分だろうということが、体感で分かるようになるそうだ。

本格的な運動施設や温泉施設も充実

 ユインチホテル南城には、屋内スポーツ施設として体育館やジム、屋内プールなどが併設され、実際に健康運動指導士がサポートするトレーニングプログラムもある。健康運動指導士がその人に応じた健康指導や運動方法のカウンセリングを行い、宿泊中にモニタリングしながら指導していく。

 一般的に、スポーツジムでは肉体改造などが重視されているが、ユインチホテル南城では、心も体も元気になる内面的な部分を重視した取り組みに主眼が置かれている。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
ユインチホテル南城にあるスポーツ施設。本格的な運動ができる設備が整っている(写真提供:ユインチホテル南城)

 また別棟には、地下2,119mの深さから源泉をくみ上げている温泉施設もある。より効果的に温泉の効能を得るには、例えば3分くらい浸かって休憩するといったことを繰り返せば、長時間の入浴でも体に負担をかけないという。そういった温泉の活用法をスタッフが説明し、利用者が健康的に温泉を楽しめるようなプログラムも考えているという。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
ユインチホテル南城の温泉施設は源泉が57℃と高温なので、加水・加温無しの掛け流しで提供されている(写真提供:ユインチホテル南城)