「運用の工夫で、我慢しないネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)にしていく」。2019年5月、高松市内に完成したZEBとなる自社ビル「エネフィス四国」の使い心地について、総合設備会社ダイダン(大阪市)四国支店技術部管理課の片山茂克担当部長はこう語る。

 エネフィス四国は、JR高松駅や高松城址(じょうし)・玉藻公園の東側に立地する。3階建て、延べ面積1181m2の小規模オフィスビルだ。2階にバルコニーを設けた彫りの深い南面のファサードが外観を印象付けている。2階と3階の屋上に合計49.6kWの太陽光発電設備を載せ、設計時点の「創エネを含む1次エネルギー消費量の削減率(その他エネルギー消費量を含まず)」を101%とし、ZEBの要件を満たした。

ダイダン四国支店「エネフィス四国」の南西側外観(写真:ダイダン)

 国はZEBロードマップで、年間の1次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになるZEBの定義を示している。創エネを含む1次エネルギー消費量の削減率が100%以上はZEB、75%以上100%未満はNearly ZEB、50%以上75%未満はZEB Readyとなる。いずれも創エネを含まない削減率は50%以上が条件。創エネを必要とせず、創エネを含まない削減率が、事務所や学校などは40%以上、ホテルや病院、百貨店、集会所などは30%以上の延べ面積1万m2以上を対象にしたZEB Orientedもある。

 ダイダンは2016年4月、ZEB Ready相当の「エネフィス九州」(福岡市)を完成させている。それから3年。エネフィス四国では、「エネフィス九州の運用実績を踏まえて、ZEBの技術を深化させながら、より広く活用できる汎用性の高い設備を採用した」(ダイダンの杉浦聡エンジニアリング本部ZEB推進部長)。

 計画に際して掲げたコンセプトは4つ。エネフィス九州の実績を踏まえた「ZEB化技術の深化」、被災時における支店機能の維持や事業継続性の確保を目指した「事業継続計画(BCP)対策」、あらゆるモノがネットにつながるIoT技術を導入した「快適性の向上」、イニシャルコストとランニングコストを低減させる「経済性の向上」だ。

 早稲田大学の田辺新一教授、工学院大学の野部達夫教授による監修を得て、NTTファシリティーズ(東京都港区)とダイダンが設計・施工を担当した。