ドイツの洗濯グッズが目に止まった。それが始まり。

一番の売れ筋は、右下のランドリーバスケット。

 ところで、この複合型の新しいサロンを運営する株式会社藤栄とはどんな会社なのだろうか。

 「私たちは、家具と家庭用品などのインテリア商社です。コインランドリーを運営してきたわけでもなく、洗濯機や衣類乾燥機のメーカーでもありません。もちろん、カフェもやったことがありませんでした」

 商品企画担当だった松延さんは、先代オーナーが「これから日本には洗濯も含めライフスタイルすべてを豊かにしたいというニーズが絶対に芽生えてくる」という認識のもとに始まった洗濯のプロジェクトを、なんの手がかりもないまま担当することになる。

 「どう進めていこうかと悩んでいるときに目に止まったのが、2008年12月号の『pen』に掲載されたフレディ レック・ウォッシュサロンの特集でした。その記事にベルリンでおしゃれなコインランドリーがオープンして、物販もやっているとありました。商社としては、扱っているグッズを輸入すればこのプロジェクトも一件落着ではないかと。それくらいの軽い気持ちで取りかかりました」

 2009年3月、松延さんはドイツに視察に行く。

 「デザインや空間コーディネイトなど、ブランドとしてはおしゃれですごいいいものでした。ところが残念ながらグッズの品質が日本人の要求するレベルには至っていなかった。そこで、商社として培ってきた日本の製造ネットワークを使って日本国内でグッズをつくり、ブランドを使わせてもらうことにしました」

 「洗濯グッズを販売していく中で、コインランドリーが増えているというデータに出合いました。その担い手も女性にシフトしていると。ならば、洗濯をおしゃれで達成感のあるものにすれば受け入れられるのではないか。ということで、今度はフレディ レック・ウォッシュサロンのサービスそのものを日本で展開することにしました」

地域の新しいコミュニティの形

スタッフと利用者の間で、常にコミュニケーションが図られている

 コインランドリーは銭湯に併設されていることも多い。ウォッシュサロンも、従来のコインランドリーが地域で担ってきた役割を意識しているところがある。

 「銭湯もコインランドリーも、地元のコミュニケーションの場、という側面があったと思います。なんとなくよく会うところから始まって、挨拶をして。そういうローカル・コミュニティの形成に一定の役割を果たしていた面があったはずです。私たちは、カフェを併設しているわけですから、これまでのコインランドリーよりももう一つ高いレベルで、あるいはもっと現代的なコミュニケーションを生み出す役割を担っていけたらなと考えています」

 松延さんもスタッフのみなさんも、次々にやってくる利用者の多くと顔なじみで、何気ないコミュニケーションを交わしていた。子育て中のスタッフがベビーカーで連れられてきていた幼児にそれとなく視線を投げかける場面や、ガラス越しに道を行く常連さんを見つけると、どちらからともなく会釈をする光景も何度もあった。地域に溶け込むとはこういうことをいうのではないか。

 「スタッフみんなのコミュニケーションで場をつくりあげていくべきだと思っているので、意図的にマニュアルの要素を限りなく減らしています。でなければ、人を配置している意味がありませんから」

 洗濯という家事を接点に、事業者と利用者というビジネスの構図以外の、何かがここから生まれてくるかもしれない。ウォッシュサロンは、そんな可能性を感じさせてくれた。

お話を伺った松延友記さん

■施設概要
フレディ レック・ウォッシュサロン トーキョー
・住所
〒 152 – 0001 東京都目黒区中央町1丁目 3 – 13
・公式サイト
https://www.freddy-leck-sein-waschsalon.jp/
・営業時間 
コインランドリー 24時間
洗濯代行/クリーニング/カフェラウンジ/グッズショップ 9時~21時