トップライトで自然採光

 「計画では、『1次エネルギー消費量の削減率50%以上』という補助要件を満たすことが目標となった。まず設計内容がこの基準をクリアするかどうかをチェックした。開業時期が決まっていたので工程は厳しかったが、建築も設備も当初から省エネルギーに配慮していた設計だったため大きな変更は無かった」と藤田氏は話す。

 建物は、建設地の形状に合わせて南北に長く配置している。南北に延びる中廊下の両側に入居者の個室が30室並ぶ。デイサービスエリアや訪問介護ステーション、事務室などが入る棟と、厨房や倉庫、職員用のカフェテリアなどが入る棟がその西側と南側にそれぞれ接続する。中廊下にはトップライトを設け、昼間には自然採光で一定の明るさを確保するようにした。

アミスタ五所川原の平面図(資料:秀建築設計事務所)
個室回りの中廊下(写真:守山 久子)
個室(写真:拓心会)

 外皮の断熱は、主な外壁部分では厚さ75mmのウレタンフォーム、天井面では厚さ200mmのグラスウールを吹き込んだ。足元回りでは、基礎立ち上がり部分に厚さ50mm、床に厚さ25mmの押し出し法ポリスチレンフォームをそれぞれ施工した。

 「木造建築の場合、例えば外壁には厚さ100mm程度のグラスウールを施すのが一般的だが、今回はZEBを目指すためにより高い断熱性を見込める仕様とした」と、秀建築設計事務所代表取締役の三上秀昭氏は話す。一方、開口部に用いたLow-E複層ガラスの樹脂サッシは、近隣エリアでは通常の仕様だという。

 設備面では汎用的な技術を組み合わせつつ、一部で性能を強化した。熱交換型換気システムを採用した他、給水管の断熱仕様を厚さ20mmから30mmに増やしたり、蛇口の水栓を節水タイプにするなどした。

 事務室や多目的ホールなどの大空間、昼間の滞在時間が長い部屋の暖冷房には、補助対象となる複数制御の寒冷地仕様のパッケージエアコンを採用した。入居者の個室などには寒冷地仕様のルームエアコンを設置している。

 19年1月に入居を開始。それから半年ほどたった19年夏には、敷地内の既存施設の太陽光発電システムで発電した余剰電力をアミスタ五所川原で利用できるようにした。導入したBEMSを用いて月ごとのエネルギー消費量のデータを蓄積し、今後の運用改善につなげていく。

 拓心会は、ZEB化に伴ってイニシャルコストは20〜30%高くなったと見積もる。その一方で、ランニングコストは着実に低減している。島村理事長は、「まだ厳密な検証はしていないが、月ごとの電気代は同じ規模の施設に比べて7~8割ほど減っている。太陽光発電をつなげた効果もあるだろうが、省エネ化を実感している」とZEB化の手応えを語る。

個室エリアの夕景外観(写真:川村建匠)
アミスタ五所川原の建築概要データ
●所在地:青森県五所川原市
●地域区分:3地域
●建物用途:病院等
●構造・階数:木造・地上1階建て
●延べ面積:1859m2
●発注者:拓心会
●設計者:秀建築設計事務所(建築)、神建築設備設計事務所(設備)
●施工者:川村建匠
●完成:2019年1月
アミスタ五所川原のZEBデータ(資料:環境共創イニシアチブ)

この記事は、日経 xTECH(クロステック)の「省エネNext」に掲載したものの転載です(本稿の初出:2019年12月24日)。

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