魅力的な空間だけにイベント利用なども盛況
オープン当時は夜のみの営業だったことから、お酒を飲みながら過ごす人が多かったそうだが、最近はカフェ利用が多く、コワーキングスペースとして利用する人もいる。
「お昼の時間帯、特に土日のお昼は来店者数が多く、20代前半の方がよくいらっしゃいます。1時間ほどでさっと帰る方もいらっしゃれば、お昼から夜10時までいらっしゃる方もいて、滞在平均時間は、3時間ほどでしょうか。平日の夜ですと、渋谷周辺で働いている方が仕事帰りに立ち寄って、読書されたり、パソコンを持ち込んで作業されたりする方もいらっしゃいますね」
レンタルスペースとしても利用できる。「ドリンク&フード付きの貸し切りや、場所だけ貸し出すこともしています。テレビ番組の撮影、作家さんのトークイベント、個人のパーティー会場などとして、この空間を気に入っていただいた方から、さまざまにご利用いただいています」
新たなチャレンジを繰り広げる森さん
ところでオーナーの森さんはというと、10年間住んでいた渋谷を離れて、2017年に長崎県壱岐に移住し、「Iki-Biz(壱岐しごとサポートセンター)」のセンター長として壱岐の島興しの活動に従事していた。その任期が最近終わり、次は政治の世界へ挑むのだという。さらに並行して、壱岐島にも森の図書室のような場所をつくりたいと、2020年中のオープンをめざして、「森」ならぬ「海の図書室」をつくろうと奔走している。自分の好きな本だけではなく、誰かの好きな本が並んでいる図書室の方が100倍素敵だと森の図書室を通じて感じた森さんは、現在、お金ではなく、本を集めるクラウドファンディングを行っている。
図書室という場所があることで、通り過ぎていくだけだった人が足を止め、お酒を飲むだけだった人が物語に出合い、人が集まる拠点ができていく。本という知の堆積が都会の中で新たな出合いをつくっていく。その可能性が雑居ビルの中から溢れ出しているようだった。