住宅会社のエコワークス(福岡市)が、本社の移転先となる既存の賃貸ビルを改修。年間の1次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスになるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とした。住宅づくりで蓄積した技術を生かし、テナントとして入居するビルの高性能化を図った。

 大小の店舗や集合住宅が混在する福岡市の筑紫通りに面して、2階建ての鉄骨造ビルが建っている。一見ごく普通のこの建物が、福岡県で初めてBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)におけるZEB評価を取得した。エコワークスが2020年2月から入居する新本社ビルだ。

筑紫通りに面したエコワークス新本社(写真:守山 久子)
筑紫通りに面したエコワークス新本社(写真:守山 久子)
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 ZEBは4段階あるZEBシリーズのうち最高ランクで、再生可能エネルギー(創エネ)を含まない1次エネルギー消費量削減率(その他エネルギーを除く)が50%以上、創エネを含めた同削減率が100%以上を条件とする。約45kWの太陽光発電を設置した新本社はそれぞれ57%と117%となり、余裕を持って条件をクリアした。

 ZEBに関連する新本社の特徴はそれだけではない。まず、既存建築物を改修して実現したことだ。新築ではなく改修に伴い、創エネを含めた1次エネルギー消費量削減率が100%以上を実現したZEBは国内でまだ数例しかない。

 さらに目を引くのは、入居テナントであるエコワークスがビルオーナーに提案し、エコワークスの費用でZEB化を進めた点だ。「高性能化によって建物の価値が高まることを訴え、オーナーの理解を得た。普通ならテナントの退去時に原状回復が求められるが、今回はそのままでよいという条件で改修工事を実施した」(エコワークスの小山貴史代表)

 福岡県と熊本県を拠点とするエコワークスは、木造注文住宅を中心に年間約90棟を手掛ける。建設する住宅の省CO2化に早い時期から取り組み、20年度には全棟の9割をZEH(ネット・ゼロ・エネルギー住宅)とする目標を掲げている。自社の活動においても、モデルハウスを含む全17事業所で使用する電力の100%を再生可能エネルギー由来とするなど、全国でも先駆的な住宅会社といえる。

 新本社ビルの建物は1987年に完成し、斎場として利用されていた。エコワークスは延べ面積およそ600m2の建物を改修して、1階に大小の会議室を、2階に執務スペースをそれぞれ設けた。

1階の多目的スペース。壁と床はムクの木材で仕上げた(写真:守山 久子)
1階の多目的スペース。壁と床はムクの木材で仕上げた(写真:守山 久子)
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2階の執務スペース(写真:守山 久子)
2階の執務スペース(写真:守山 久子)
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エコワークス新本社の1階平面図(資料:エコワークス)
エコワークス新本社の1階平面図(資料:エコワークス)
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エコワークス新本社の2階平面図(資料:エコワークス)
エコワークス新本社の2階平面図(資料:エコワークス)
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