グランドレベル。それは、地面そのものであったり、まちにいて自然に視界に入ってくる風景のことを意味していたり、海外では1階の意味で日常的に使われていたりする。「1階づくりはまちづくり」のモットーを掲げ、そのグランドレベルに特化したユニークな専門会社がある。株式会社グランドレベルだ。代表取締役社長・田中元子さんに、なぜ1階づくりがまちづくりになるのか、そして、コロナと共存していく今後のまちのあり方についてお話を伺った。

グランドレベルにあるものは、嫌でも視野に入ってくる

 株式会社グランドレベルは、あらゆる建物の1階、公園や空地、個人宅の軒先やニュータウンなど、さまざまなグランドレベルを魅力的につくることで、より良い社会の実現をめざす会社だ。1階づくりの企画・デザインをはじめ、まちや人の活性につながるユニークなプロジェクトを企画したり、講演やワークショップの開催なども行っている。

 「グランドレベルにあるものは、見ようとしていなくても目に飛び込んでくるものです。きれいな植栽、優れた建築デザイン、あるいは空き家、シャッター商店街…、見たくなくても視界に入ってきます。それだけではありません。まちを歩いている私たち自身も他者から見れば風景の一部なのです。そうした要素の中で私たちが惹かれるのは、やっぱり人なんです。なにか楽しそうにしている人がいる、自由に過ごしている人がいる。そういう人たちがいる風景に、私たちは引き寄せられるのです」

 だから田中さんは、人がまちに出る仕掛け・仕組みを考え続けている。

 「会社を設立した2016年当時、実は知らなかったんですが、世界ではすでにグランドレベルの視点でまちづくり・都市開発をすることがトレンドになっていました。でも日本では、相変わらず土地の利用効率だけを考えた高層ビルが建てられ続けている。建築許可の交換条件として設けられる公開空地も、本当に人のことを考えたものにはなっていません。その証拠にそこを利用している人はほとんどいないでしょう。こうしたまちのありようが不思議でなりませんでした」

お話を伺った田中さん。株式会社グランドレベルの事務所でもある「喫茶ランドリー」の一角にて
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