大成建設は2020年2月、横浜市にある技術センター内の「ZEB実証棟」をリニューアルして「人と空間のラボ」と名付けた。新築時のガラス張りの外観はそのままに、設備や建物の外皮の性能を向上させ、BELS(建築物省エネルギー性能評価制度)のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)評価を取得した。

 「もともと、スーパーカーのように高度な手づくりの技術をてんこ盛りにした建物。改修に際しては、創エネ面でより高性能化を図る一方、省エネ面では汎用技術を導入した」(大成建設エネルギー本部の小林信郷ZEB・スマートコミュニティ部長)

 地上3階建て、延べ面積1277m2の建物は2014年5月に完成した。「都市型ZEB」を掲げ、屋上に加え、窓以外の外壁部分にも太陽光パネルを装備しているのが大きな特徴だ。完成後にはBELSの5つ星、米国のLEED(環境建築性能認証制度)における新築カテゴリーの最高ランク「プラチナ」の認証をいずれも国内で初めて取得した。

 BELSの評価方法は2016年4月に変わり、それ以前はZEB評価はなかった。当時の5つ星は、1次エネルギー消費量基準(BEI=設計1次エネルギー消費量÷基準1次エネルギー消費量)0.5以下が条件だった(2016年4月にBEIの計算方法が変わり、事務所ビルの5つ星はBEI0.6以下になった)。

 今回のリニューアルを機に、2019年6月に改めてBELSを取り直して、創エネを含む1次エネルギー消費量削減率が100%以上のZEBの評価を受けた。

外観全景。屋上のほか、南東西を中心とする外壁に太陽光発電パネルを設置している(写真:大成建設)
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各階平面図(資料:大成建設)
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 改修ではまず、建物を特徴付ける外壁の太陽光発電パネルを一新した。カネカ(東京・港区)と共同開発した高効率のパネルに置き換えて、建物全体の発電量を約30%向上させた。太陽電池の配線を目立たなくさせるなどの工夫も施し、外観デザインをよりすっきりさせた。

 さらに建物の外皮性能を高めた。外壁の断熱厚さを25mmから50mmに増やし、窓のLow-E複層ガラスは厚さ12mmの空気層を持つタイプから真空タイプに替えた。

南面の外壁まわり。窓以外の外壁に設置した太陽光発電パネルを、発電素子の最高発電効率24%、太陽光発電モジュールの平均発電効率18%の高効率な部材に一新した(写真:大成建設)
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 設備は、普及タイプの高効率ビル用マルチエアコンを新たに追加。従来用いていたLED(発光ダイオード)照明もさらに高効率なタイプに変更した。

 人工知能(AI)、あらゆるモノがネットにつながるIoTを活用したサポートシステムも進化させた。改修前も空調や照明を利用者ごとに個別制御できる仕組みを導入していたが、利用者が好む温度や明るさをスマートフォンに入力しておくとそれに合わせて空調を制御する、個々の行動を分析して生産効率の上がる働き場所へと誘導するなど、よりきめ細やかなサポートができるようにした。

 これらの改修により、再生可能エネルギー(創エネ)を含まない1次エネルギー消費量削減率(その他エネルギーを除く)で50%、創エネを含む同削減率で113%となった。