屋上設置は高さや構造耐力に注意

 屋内的用途のない太陽光発電設備を建築物の屋上に設置する場合について、もう少し説明しよう。前述のように、この場合は太陽光発電設備を建築設備として扱うため、確認申請が不要であっても建築基準法への適合が求められる。建築物の高さや防火規定、建築物の構造耐力に関する規定などには特に気を付けたい。

 構造耐力に関して、ビューローベリタスジャパンの森口英樹執行役員テクニカルマネージャーは次のように注意を促す。「太陽光発電設備の設置によって荷重が増加する場合は、既存のスラブや梁(はり)、基礎などの構造耐力上主要な部分が許容応力度の範囲内かどうかを検討する必要がある。長期荷重だけでなく屋根部分の荷重が増えるので、地震荷重に対してギリギリになっている可能性もある」

 高さについては、条件に応じて絶対高さ(第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域における10mまたは12mの高さ規制)、日影規制、北側斜線などの制限がかかる。「設置するとこれらの規定を満たさなくなる場合には、太陽光発電設備は設けられない」(渡邊氏)

 もっとも建築基準法やその取り扱いは、全般的には太陽光発電設備を設置しやすい方向へと変わってきている。例えば2011年に国土交通省が出した、屋内的用途に供しない太陽光発電設備を「屋上部分」として取り扱わないとする技術的助言だ。

 建築基準法では、屋上にある階段室や昇降機塔などで水平投影面積の合計が建築面積の8分の1以内のものを「高さに算入されない建築物の屋上部分」としている。これらは、一部の場合を除いて屋上部分は高さにカウントしない。実質的な制限緩和につながるため、屋上部分の面積を建築面積の8分の1近くに設定した建築物は多い。

 2011年の技術的助言が出される前は、太陽光発電設備を屋上部分として扱っていた。そのため太陽光発電設備を設けると屋上部分の合計面積が建築面積の8分の1を超えてしまう場合は断念せざるを得なかった。取り扱いの変更により、太陽光発電設備を設けられる既存建築物の幅が広がった。

2011年以降は太陽光発電設備を「屋上部分」以外として取り扱うことになり、既存建築物に導入しやすくなった(図:国土交通省「建築確認手続き等の運用改善(第二弾)及び規制改革等の要請への対応についての解説」を加工)
2011年以降は太陽光発電設備を「屋上部分」以外として取り扱うことになり、既存建築物に導入しやすくなった(図:国土交通省「建築確認手続き等の運用改善(第二弾)及び規制改革等の要請への対応についての解説」を加工)
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この記事は、日経 xTECH(クロステック)の「省エネNext」に掲載したものの転載です(本稿の初出:2020年9月30日)。