上面も下面も発電

 システムの特徴は、上面だけでなく下面からも発電できるパネルを採用した点だ。「両面パネル化によって発電量が6%アップし、投資コストの早期回収に結び付けられた」と、村田製作所企画管理本部管理グループファシリティ部施設課の勝間篤チームリーダーは話す。

 パネルは周囲に枠がなく、端部がガラスのままとなるシンプルな納まり。「雨天時には雨水が片流れに沿って流れ、パネル表面の汚れを落とす。汚れによる発電効率の低下を抑えられる点も枠のないデザインのメリットだ」(勝間氏)

 カーポートは、駐車場としての使い勝手を考慮した配置としている。例えば、屋根の向きは全て南向きにしたほうが発電量は増える。当初は全て南向きに設置することを考えたが、駐車スペースを効率的に配置できるよう検討した結果、半数以上を東向きにした。

使い勝手を踏まえてカーポートを配置したため、片流れ屋根の傾斜は南向き(右手奥)と東向き(左手前)になった(写真:村田製作所)
使い勝手を踏まえてカーポートを配置したため、片流れ屋根の傾斜は南向き(右手奥)と東向き(左手前)になった(写真:村田製作所)
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 屋根の傾斜は11.4分の1(約5度)だ。これも、発電効率だけを考えると25度程度の急勾配のほうが良い。「しかし片流れ屋根をこの角度にすると最高部分が高くなり過ぎる」(オムロン フィールドエンジニアリングコンストラクション本部EM設計施工部の神林修経営基幹職)。カーポートとして無駄の生じない形状などを勘案して傾斜を設定した。

 法規への対応も欠かせない。土地の上に直接設置する太陽光発電システムのなかでも、駐車場は法規面での制約が大きい。架台の下を作業や倉庫など何らかの屋内的用途に活用する場合、一定条件を満たす農業利用を除いて建築基準法上の建築物として扱うことになるからだ。一定規模以上の新築は建築確認申請の対象になる。構造安全性などの確保のほか、消防法で求められる諸規定への対応も必須だった。

 「それぞれのカーポートには1枚あたり25kgのパネルが126枚載り、3トンを超す重さになる。構造計算で必要な柱の本数を確保したうえ、足元の基礎もしっかり固めた」とオムロン フィールドエンジニアリングコンストラクション本部EM設計施工部の渡辺和嗣氏は振り返る。各棟を駐車スペース14台分ごとに分割したことで、設置する消火設備も最小限に抑えた。

屋根の水上側は地上4m程度の高さ。構造安全性を重視して設計した(写真:村田製作所)
屋根の水上側は地上4m程度の高さ。構造安全性を重視して設計した(写真:村田製作所)
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 村田製作所は引き続き、岡山村田製作所の工場敷地内にある500台分の駐車場にも太陽光発電システムを導入する。今回と同様に両面パネル方式を採用し、2021年2月に稼働予定だ。容量1299kW、初年度推定の発電量は116万kWhで、稼働中のシステムと合計した発電能力は現在の1.42倍になる。

 いずれの太陽光発電システムにも、発電状況の遠隔監視と保守を連動させたオムロン フィールドエンジニアリングのオペレーション&メンテナンスサービス「ソラモニ」を導入。全体の完成に合わせて、リアルタイムで発電量を示すモニターを工場内の来客スペースなどに設置する予定だ。

建築概要
村田製作所No.1ソーラーパワープラント
所在地:岡山県瀬戸内市
地域区分:6地域
建物用途:駐車場
構造・階数:鉄骨造・地上1階建て
システム容量:2403kW
設置枚数:8010枚
発注者:村田製作所
設計・施工者:オムロン フィールドエンジニアリング
完成:2020年3月

 この記事は、日経 xTECH(クロステック)の「省エネNext」に掲載したものの転載です(本稿の初出:2020年10月29日)。

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