新型コロナウイルスの流行で生活のスタイルが大きく変わった2020年。「ステイホーム」の習慣が根付く中で、自宅での暮らし方が見直され始めています。これまで多くの人にとって、家は「帰ってくる場所」でした。しかし在宅での仕事や学習の時間が増え、自宅が「日中も快適に過ごす場所」になることが求められています。その実現方法を取材しました。

 自宅を快適にする手法の一つとして、改めて注目されているのが中古住宅のリノベーションです。理想のライフスタイルを実現するために自宅をカスタマイズしたいという欲求が、家で過ごす時間が増えたことで高まっていると考えられます。

 とはいえ、新築住宅と比べると、中古住宅の購入はまだまだマイナーな存在。リノベーションでどんなことができるのかが分からないため、そもそも選択肢に入れにくいという人も多いのではないでしょうか。

 そこで今回は、リノベーション初心者の視点で素朴な疑問をプロにぶつけてみることにしました。中古住宅のリノベーションサービス「リノべる。」を運営するリノべるブランド戦略部の千葉剛史さんを取材。今だから着目したいリノベーションのコツやトレンドを、施工事例を交えて伺いました。

築45年の鉄筋コンクリート造マンション、59.59m2の2LDKを1LDK+WIC+書斎にリノベーションした事例。文中でケースAとして紹介(写真:リノべる。)
築45年の鉄筋コンクリート造マンション、59.59m2の2LDKを1LDK+WIC+書斎にリノベーションした事例。文中でケースAとして紹介(写真:リノべる。)
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築48年の鉄骨鉄筋コンクリート造マンション、42.66m2の2DKを1LDK+小上がり+WICにリノベーションした事例。文中でケースBとして紹介(写真:リノべる。)
築48年の鉄骨鉄筋コンクリート造マンション、42.66m2の2DKを1LDK+小上がり+WICにリノベーションした事例。文中でケースBとして紹介(写真:リノべる。)
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約7割の世帯が書斎を希望

新型コロナウイルスの影響で、家での時間の過ごし方が大きく変わっています。リノベーションのトレンドに変化はありますか。

千葉さん顕著なのは、書斎のニーズの増加です。おおよそ7割のお客さまが、優先度高く設置を希望されています。

在宅ワークが一般的になったことが影響していそうですね。

千葉さん実は、ステイホーム以前から家の中に書斎をつくりたいという要望はありました。変化しているのは使われ方。以前は、昼間はオフィスで働いている⼈が⾃宅に持ち帰った仕事を⽚付けたり、パソコンや宿題などに使ったりするファミリーワークスペースとしての⽤途でした。メール処理などの軽いデスクワークがメインですから、リビングの一部に仕事用のカウンターをつくる程度で十分。独⽴した部屋を設けるのではなく、リビングの一画のちょっとしたスペースを活⽤する、という考えが主でした。

1日中家で働く場合には、それだと少し窮屈そうです。

千葉さんスペースももちろんなのですが、意外と大きいのは音の問題。ファミリーの場合、オンラインでのミーティングをする場合には、互いの⾳が気になりますし、集中しやすい環境をつくることも必要です。個室タイプの書斎のニーズが一気に増えました。

自宅で仕事ができれば、通勤の必要性はますます減りますね。

千葉さん⾃宅のエリア選びの選択の幅が広がったと思います。これまでは通勤時間が圧倒的に重視されていました。以前は約6割の人が通勤時間をエリア選びの条件に挙げていたのですが、2020年4月以降は2割程度にまで減少しています。

 代わりに、近くに⼤きな公園や商店街があるエリアを挙げる⼈が増えました。必然的に、郊外を選択肢に入れる人も増えています。ただ都心エリアの人気は根強く、都心から郊外への明確なシフトが起きたというよりも、選び方が分散したと言えそうです。

利便性だけでなく、快適性を追求しているということですね。

千葉さんキッチンを充実させたいという要望も多いです。いわゆる「おうち時間」を楽しむための工夫が、より重視されるようになっています。