ブレイクダンスの聖地、川崎市高津区、溝の口エリアに、2021年7月、文化の発信基地「BOIL(ボイル)」が誕生した。元は東日本電信電話株式会社(以下、「NTT東日本」)が所有する通信施設の事務棟。内部の改修工事によって、ダンススタジオのほか、シェアキッチンやコワーキングスペース等を備えた建物に生まれ変わり、まちづくりに取り組む地元企業が運営にあたる。ここを起点に、どのようなまちづくりが展開されていくのか──。

地域文化の醸成につながる活動を生み出す場、「BOIL(ボイル)」

 ダンススタジオで仲間と練習に励んでいた少年が、溝の口エリアがその聖地と言われるブレイクダンスで世界の頂点に立つ。シェアキッチンで営業していたシェフが、腕を上げ、固定客をつかみ、高津で自分の店を開く。若者の活躍に触発され、コワーキングスペースの利用者らが、高津のまちを盛り立てる副業に乗り出す──。

 文化の発信基地「BOIL(ボイル)」は、こうした地域文化の醸成につながる活動を生み出す場だ。そこには、ダンスや食をはじめとする「コト」を通じて、多様な「ヒト」の出会いや交流を生み出す、さまざまな仕掛けが用意されている。

文化の発信基地「BOIL(ボイル)」の外観(画像提供:リノベる)。この場所を提供するのは、NTT都市開発株式会社(以下、「NTT都市開発」)とリノべる株式会社(以下、「リノべる」)だ。東急田園都市線高津駅近くにNTT東日本が保有する電話局をコンバージョンし、1階にはダンススタジオとシェアキッチンなどを、2階にはコワーキングスペースを配置した。
文化の発信基地「BOIL(ボイル)」の外観(画像提供:リノベる)。この場所を提供するのは、NTT都市開発株式会社(以下、「NTT都市開発」)とリノべる株式会社(以下、「リノべる」)だ。東急田園都市線高津駅近くにNTT東日本が保有する電話局をコンバージョンし、1階にはダンススタジオとシェアキッチンなどを、2階にはコワーキングスペースを配置した。
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1階のダンススタジオ。広さ9.3m×7.3m、高さ最大3mと、2本の縄を用いる縄跳びであるダブルダッチの利用も可能なサイズを持つ。壁や天井は防音仕様(写真:丸毛透)
1階のダンススタジオ。広さ9.3m×7.3m、高さ最大3mと、2本の縄を用いる縄跳びであるダブルダッチの利用も可能なサイズを持つ。壁や天井は防音仕様(写真:丸毛透)
2階のコワーキングスペース。前後左右のうち三方向を間仕切りで囲う個人用ブースを奥に置く。開口部が大きく、空間は伸びやかな印象(画像提供:リノベる)
2階のコワーキングスペース。前後左右のうち三方向を間仕切りで囲う個人用ブースを奥に置く。開口部が大きく、空間は伸びやかな印象(画像提供:リノベる)
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 運営には、地元溝の口に本社を置き、不動産・建築事業を通して地域に根ざした街づくりに取り組む株式会社NENGO(以下「NENGO」)があたる。同社街つくり事業部街つくりチームのチームマネージャーを務める島尻優希さんは運営への意気込みをこう語る。

 「ダンスにしても食にしても、地域住民がそれらに関連した何かをこの高津でやりたいという思いを『沸騰』させたいと願い、『BOIL』と名付けました。私たちの運営で多くの『沸騰』を促していきたいですね」

運営を現地で担う地元企業のNENGOで街つくり事業部街つくりチームのチームマネージャーを務める島尻優希さん(写真:丸毛透)
運営を現地で担う地元企業のNENGOで街つくり事業部街つくりチームのチームマネージャーを務める島尻優希さん(写真:丸毛透)
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 コンセプトは、「グローカル」。「grow(=成長)」と「culture(=文化)」を組み合わせた造語だ。多様な「ヒト」の出会いや交流から地元への熱い思いを「沸騰」させ、文化を醸成し、それを地域に還元していくことをめざす

コンセプト図。アフターコロナ・ウィズコロナ時代の新しい文化や高津地域を拠点とする新しい文化をここで育み、醸成し、地域に還元することをめざす(資料提供:リノベる)
コンセプト図。アフターコロナ・ウィズコロナ時代の新しい文化や高津地域を拠点とする新しい文化をここで育み、醸成し、地域に還元することをめざす(資料提供:リノベる)
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 ダンスや食を柱とする「BOIL」の施設構成はどのように生まれたのか──。遊休化していた通信施設の事務棟を有効活用するべく、NTT都市開発が企画から運営までを一括して依頼したのは、資本・業務提携関係にあるリノベるだ。一般顧客向けのリノベーションのみならず、今回のような建物1棟まるごとのリノベーションも、企画から運営までワンストップで手掛けることを持ち味とする。今回のコンバージョンでは、企画段階からNENGOと組んで設計・施工を担当したほか、現地での運営においても地元に強いNENGOと協業していく。

既存の内装の名残を感じてもらうため、むき出しの配管は元々隠れていたがあえて表に出し(写真上)、壁の白く色を塗っている部分より上はコンバージョンの際にあえて色をつけないというこだわりだ(写真下)(写真:丸毛透)
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既存の内装の名残を感じてもらうため、むき出しの配管は元々隠れていたがあえて表に出し(写真上)、壁の白く色を塗っている部分より上はコンバージョンの際にあえて色をつけないというこだわりだ(写真下)(写真:丸毛透)
既存の内装の名残を感じてもらうため、むき出しの配管は元々隠れていたがあえて表に出し(写真上)、壁の白く色を塗っている部分より上はコンバージョンの際にあえて色をつけないというこだわりだ(写真下)(写真:丸毛透)
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