新型コロナウイルス感染拡大は、世の中にさまざまな変化を生み出すことになった。その一つが、感染リスクの低い移動手段として注目を浴びた自転車ブームだ。コロナ禍での密を避けられる自転車通勤へのニーズが急激に高まり、スポーツバイクの購入が増加している。そんな新たな自転車ユーザも対象にした、自転車の新しい楽しみ方を提案する施設やサービスが全国で立ち上がっている。キーワードは「自転車と一緒(ウィズバイク)」。前編では、自転車と一緒に入ることができ、店舗や宿泊施設が利用できる施設について紹介する。

ライトなサイクリストでも楽しめる施設

 スポーツバイクとは、近所のスーパーでの買い物などに使われる、いわゆるママチャリと呼ばれている自転車とは違って、速く遠くまで走ることを目的としたロードバイクや、荒れ地での走行を楽しむマウンテンバイク、さらにロードバイクとマウンテンバイクの特徴を組み合わせたような、クロスバイクと呼ばれる自転車のカテゴリーだ。その他にも、電動アシストが可能なEバイクや、手軽に折り畳んで運べるフォールディングバイクなどもスポーツバイクのカテゴリーに含まれ、人気が高い。

 そうしたスポーツバイクのカテゴリーの中でも、特に人気が高いのがクロスバイクだ。クロスバイクはロードバイクやマウンテンバイクに比べて、段差や信号 が多いまちなかでも走りやすいタイヤが付いていて、気に入った店があったら気軽にとめられるスタンドも付けられる(ロードバイクやマウンテンバイクは、スタン ドが付けられないものが多い)。こうした特徴によって、クロスバイクは都心での通勤にも向いており、これまで自転車を趣味としていなかった層でも、手軽にスポーツバイクに乗り始められることから購入者が増えている。

 一方で、コロナ禍の影響による自転車ブームは、日本だけでなく世界的な規模で広がりを見せている。これによって、スポーツバイクの供給が追いつかなくなり、人気がある車種はサイクルショップで予約しても、入荷まで半年から1年くらい待たされることもある状況だ。

 もともと、健康指向の高まりなどを背景に、自転車への注目は徐々に高まっていた。サイクリングの楽しみ方も、コロナ禍前からいろいろと多様化しているが、今後は「せっかくスポーツバイクを買ったんだから、週末にはちょっと足を延ばしてサイクリングを楽しんでみたい」と考える人も増えていくだろう。

 そんなライトなサイクリストから、本格的に走りを楽しみたいサイクリストまでを満足させる施設やサービスが、全国各地で増えてきている。茨城県南エリアの中心地である土浦市も、そういった施設が充実したまちの一つだ。

自転車で入っていける駅ビルがある土浦市

 土浦市では電車に乗ってサイクリングを楽しみに来る人のために、JR常磐線の土浦駅をサイクリストの拠点として整備している。電車の中では自転車を折り畳んで専用のバッグに入れて持ち運ぶ必要があるが、改札と同じフロアに自転車が組み立てられるスペースが用意されている。通常、電車で持ち運んできた自転車は駅舎を出てからスペースを探して組み立てることが多いが、改札のそばに組み立てスペースがあると重い自転車を抱えて運ぶ負担も減らせる。

電車で持ち運んできた自転車は駅を出てからスペースを探して組み立てることが多いが、土浦駅は改札の近くに組み立てるスペースが用意されている
電車で持ち運んできた自転車は駅を出てからスペースを探して組み立てることが多いが、土浦駅は改札の近くに組み立てるスペースが用意されている(写真:元田光一)
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 自転車を組み立てると、そのまま押して駅ビル「プレイアトレ土浦」に入っていける。「プレイアトレ土浦」の1階から3階には、サイクルショップやカフェ、レストラン、書店、コンビニ、ドラッグストア、土産物店などの店舗が入っており、自転車を押して移動しながら食事や買い物を楽しめるようになっている。フロアの移動には、自転車と一緒に乗れるエレベーターが利用できる。

自転車は床に引かれた青い線の上を押して歩き、店舗の前にとめておける
自転車は床に引かれた青い線の上を押して歩き、店舗の前にとめておける(写真:元田光一)
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スタンドが付いていないスポーツバイクを置けるバイクスタンドも、館内のいたるところに用意されている
スタンドが付いていないスポーツバイクを置けるバイクスタンドも、館内のいたるところに用意されている(写真:元田光一)
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 1階のサイクルショップでは、クロスバイクだけでなく、ロードバイクやマウンテンバイクから最新のEバイクまで、さまざまなタイプのスポーツバイクがレンタル可能。地下にもクロスバイクがレンタルでき、コインロッカーやシャワーなども利用できる施設がある。こういったサービスや施設を利用すれば、スポーツバイクを持っていなかったり、電車で自転車を抱えて運ぶのが面倒だと思っていたりする人でも、気軽にサイクリングが楽しめる。

「プレイアトレ土浦」1階のサイクルショップでは、最新のスポーツバイクの購入だけでなくレンタルでの利用も可能
「プレイアトレ土浦」1階のサイクルショップでは、最新のスポーツバイクの購入だけでなくレンタルでの利用も可能(写真:元田光一)
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地下の施設には、事前にスマートフォンのアプリで支払い情報などを登録しておけば、面倒な手続きなしですぐに利用できるレンタルサイクルやコインロッカー、シャワー設備も用意されている
地下の施設には、事前にスマートフォンのアプリで支払い情報などを登録しておけば、面倒な手続きなしですぐに利用できるレンタルサイクルやコインロッカー、シャワー設備も用意されている(写真:元田光一)
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