SDGs(持続可能な開発目標)の17項目のゴールの1番目は「貧困をなくそう」。発展途上国だけでなく、日本国内でもさまざまな事情で貧困に陥っている世帯は存在する。重要なのは、貧困世帯の子どもが成人して再び貧困になる「貧困の連鎖」を断ち切るための支援。この「子どもの貧困問題」に、多くの民間企業や大学とのネットワークを築きながら取り組んでいるのが大阪府門真市だ。

 「自分のいいところを、自分で見つけるのって難しいよね。でも、他の人から見ると、その人のいいところに意外と気づくことができるんだよ。そのように、商品のいいところを探して、広く伝えるのが広告会社のお仕事なんだ」

 スライドを見せながら、集まった子どもたちに講師が語りかける。テレビで見たことのあるCMをつくっている人を前に、子どもたちが好奇心のまなざしを向ける。その後、「チョコレートの広告をつくろう」というワークショップが始まり、子どもたちは一斉にペンを走らせた──大阪府門真市の「子どもLOBBY」ではこの日、広告会社の社員が講師となり、広告のつくり方や広告会社の仕事を学ぶキャリア教育イベント「広告をつくってみよう!」が開催されていた。

「子どもLOBBY」で行われたキャリア教育イベントの様子(写真提供:門真市)
「子どもLOBBY」で行われたキャリア教育イベントの様子(写真提供:門真市)

民間企業によるキャリア教育イベントが人気

 「子どもLOBBY」では、門真市内の小中学生を対象にこのようなキャリア教育イベントをほぼ毎週開催している。その多くは、40社を超える民間企業・団体の協賛によるものだ。「親子で楽しめる自販機体験(ダイドードリンコ)」「イケアと遊ぼう、地球と遊ぼう!体験キッズワーク!(IKEA鶴浜)」などユニークな企画がめじろ押しで、楽しみながらキャリア観を育むことができるとあって毎回定員をオーバーする人気プログラムだ。

 「自分がなりたい職業を実際に体験することで、子どもたちが目標までのプロセスをより具体的にイメージできるようになってもらうのがねらいです。その子どもたちが将来、目標をかなえたときに『あのキャリア教育イベントがきっかけになったな』と思い返してくれればうれしいですね」

 笑顔でそう語るのは、門真市こども政策課 副参事の小西紀至さん。この「子どもLOBBY」を立ち上げた中心人物の一人だ。

門真市役所の小西紀至さん
門真市役所の小西紀至さん
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 2021年6月、地元の近隣型ショッピングセンター「イズミヤ門真店」3階にオープンした「子どもLOBBY」。新たな子どもの居場所として開放され、普段は子どもたちが気軽に出入りして遊べるスペースになっている。週末には前述したキャリア教育イベントが開催される。

 門真市がなぜ、このような子どもの居場所をつくったのか。背景にあるのが同市の「子どもの貧困問題」だ。