新型コロナウイルス感染症の蔓延は、自転車ブームを拡大させている。密を避ける移動手段になると同時に、健康志向のレジャーにも対応できるからだ。新たにスポーツバイクに乗り始めた人も対象にした、新しい自転車の楽しみ方の提案が「自転車と一緒(ウィズバイク)」。前編では、自転車と一緒に店舗や宿泊施設が利用できる駅ビルについて紹介した。後編では、茨城県と市町村との連携で進められている「自転車のまちづくり」の取り組みと、自転車をそのまま列車に載せて一緒に旅ができるサイクルトレインについて紹介しよう。
JR土浦駅の改札を出ると、駅ビル内のカフェやレストラン、そして駅ビルに直結したホテルの部屋の中までも自転車を押したまま入っていける。前編では、サイクリストファーストなまちづくりを進めている土浦市の取り組みを紹介した。こうした取り組みは、土浦市をはじめとする筑波山および霞ヶ浦周辺地域の市町村(つくば市、鹿嶋市、潮来市、かすみがうら市など14市町村)に加え、茨城県や国の関係団体、企業などが構成する「つくば霞ヶ浦りんりんロード利活用推進協議会」によって支えられている。協議会では、サイクルツーリズムの推進による地域の活性化をめざし、さまざまな拠点施設の整備や誰もが手軽にサイクリングを楽しめる環境づくりを進めている。
「つくば霞ヶ浦りんりんロード」は、旧筑波鉄道の廃線敷と霞ヶ浦を周回する湖岸道路を合わせた全長約180kmのサイクリングコースだ。筑波山地域などの豊かな自然や風景、水郷筑波国定公園に指定されている霞ヶ浦などの水郷地域、鹿島神宮に代表される歴史的・文化的資産などが楽しめる。
土浦市から北西に向かう「筑波山方面」ルートは、筑波山を眺めながら田園の中を走るコース。元駅舎を活用した休憩所が点在するなど、初心者でも走りやすいコースから始まるが、筑波山の先はヒルクライム(坂道)になっているので上級者でも楽しめる。南東に向かう「霞ヶ浦方面」ルートは霞ヶ浦を一周すると130kmにもなるが、ほとんど平坦な湖岸の道を走るので初心者でも安心して楽しめる。