世界三大恐竜博物館に数えられる福井県立恐竜博物館。今ではすっかり福井県の一大観光地となった同館には、年間90万人を超える見物客が全国からやってくる。福井県勝山市の山間(やまあい)にある現地を訪ね、“恐竜の百貨店”の神髄に迫った。(ニッポン恐竜博物館行脚 その1の「軍艦島を望む恐竜パークが長崎に誕生」の記事はこちらです)

恐竜王国を象徴するランドマーク

 恐竜王国を自任する福井県。玄関口となるJR福井駅構内では、白衣を着た「恐竜博士」が人びとを出迎える。繁華街に面した駅西口には「恐竜広場」があり、福井で生息していた恐竜のフクイラプトル、フクイサウルス、フクイティタンの3体を動くモニュメントとして設置。駅に着いた途端に映画『ジュラシック・パーク』のような雰囲気を味わえる。

白衣を着た「恐竜博士」が福井駅構内で出迎えてくれる(写真:浅野 功)
白衣を着た「恐竜博士」が恐竜博物館入口で出迎えてくれる(写真:浅野 功)
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 かように、現在では“日本で恐竜といえば福井県”のイメージが定着しているが、そもそもは1982年、福井県勝山市北谷町で発見されたワニの全身骨格化石が発端だ。もともと北谷町は貝の化石が数多く見つかる場所だったが、その後、恐竜化石の発掘を目的に調査を進めたところ、たくさんの恐竜化石が見つかった。その数は、日本の恐竜化石の大部分を占めるとされる。

 これら貴重な化石を生涯学習、地域振興、さらには県のイメージアップにつなげようと、福井県立博物館から自然科学系を分離するかたちで、2000年に福井県立恐竜博物館がオープンした。北陸新幹線が金沢まで開通した2015年以降、コロナ禍に見舞われる直前の2019年まで、ほぼ毎年のように年間入館者数が90万人を突破。ピークの2018年度には93万8310人を記録するなど、国内の自然史系博物館としては屈指の集客力を誇る。

 福井県立恐竜博物館は福井駅から車で約40分、勝山市の「かつやま恐竜の森」に位置する。小高い丘への道中にもさまざまな恐竜のオブジェがあり、見学前から自然とテンションが上がる。建築家の黒川紀章氏が手がけた独特なドーム型の館内は出入り口が3階となっており、長いエスカレーターに乗って地下1階に下りていく仕組みにまず驚く。

長いエスカレーターで下りて恐竜博物館に足を踏み入れる(写真:浅野 功)
長いエスカレーターで下りて恐竜博物館に足を踏み入れる(写真:浅野 功)
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 同館はカナダ・アルバータ州のロイヤル・ティレル古生物学博物館、中国・四川省の自貢(じこう)恐竜博物館とともに世界三大恐竜博物館として知られるが、恐竜化石の全身骨格はロイヤルが40体、自貢が20体に対し、福井は全44体。これだけでも、規模の大きさがわかるだろう。

白いドーム型の館内に広がる恐竜の世界(写真:浅野 功)
白いドーム型の館内に広がる恐竜の世界(写真:浅野 功)
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 メインとなる「恐竜の世界」の展示室の中央には、大人気のティラノサウルスのロボットがどっしりと構え、それをぐるりと囲むようにして竜盤目・鳥盤目の恐竜がずらりと並ぶ。米国ワイオミング州で発見されたカマラサウルスの全身骨格は全体の9割以上が実物化石であり、そばで見ていると太古の息づかいが伝わってくるかのようだ。

カマラサウルスの全身骨格。9割もの骨が実物化石で組み上がった貴重な標本(写真:浅野 功)
カマラサウルスの全身骨格。9割もの骨が実物化石で組み上がった貴重な標本(写真:浅野 功)
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 地元の福井県から発掘された恐竜は別枠の展示だ。フクイラプトル、フクイベナートル、フクイサウルス、コシサウルス、フクイティタンの5体は、かつて福井の地を闊歩していたスター恐竜である。これら5種の新種の恐竜化石、そして発掘現場の一部は、2017年に国の天然記念物に指定された。

日本の恐竜時代がよくわかるように、福井県から発見された骨格に加え、国内で発見された恐竜化石なども展示されている(写真:浅野 功)
日本の恐竜時代がよくわかるように、福井県から発見された骨格に加え、国内で発見された恐竜化石なども展示されている(写真:浅野 功)
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