「リサイクル率日本一」に14回輝いた鹿児島県大崎町が、「循環型社会」の実現に向けて動き出した。すべての資源がリサイクル、リユースされて循環する「サーキュラーヴィレッジ・大崎町」を実現するとともに、大崎町のリサイクルシステムを国内外に向けて展開しようとしている。真の循環型社会をつくるには、町外の事業者や他の自治体との連携が欠かせない。すでにリサイクル率日本一の大崎町が、あえてそこにチャレンジするのはなぜか。実現のための取り組みはどこまで進んでいるのか。大崎町役場の中野伸一さんと大崎町SDGs推進協議会の齊藤智彦さんに、チャレンジの理由と取り組みの現在地、そして「これから」について聞いた。2回に分けてお届けする。

処分場の延命のためにリサイクルを始めた大崎町

 養殖うなぎ、鹿児島黒牛、かごしま黒豚、マンゴーやパッションフルーツの産地として知られる鹿児島県大崎町は、大隅半島の東に位置する人口約1万2,000人の町である。町の南東部は志布志湾に面し、「くにの松原」と呼ばれる白砂青松の風景が広がる。

鹿児島県大崎町の風景(写真:志鎌康平)
鹿児島県大崎町の風景(写真:志鎌康平)
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鹿児島県大崎町の位置
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 かつての大崎町は、ごみの分別に無頓着な町だった。昔から焼却炉を持たないため、「燃えるごみ」の区分はない。生ごみでも何でも、すべてのごみは黒いビニール袋にいっしょくたにして埋立処分場に持ち込んでいた。

 この処分場は1990年、旧志布志町、旧有明町(現在はともに志布志市)との合意の下に、旧有明町内に建設した共同の処分場で、2004年まで使用できるはずだった。ところが1998年、処分場が2004年まで持たないことが判明する。当初の想定より多くのごみが搬入されたためだ。

現・志布志市にある埋立処分場(写真:志鎌康平)
現・志布志市にある埋立処分場(写真:志鎌康平)
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 大崎町はすぐさま、住民代表の組織である「衛生自治会」の協力を得て説明会を開催し、住民と議論を始めた。説明会の開催は3ヵ月間で延べ450回にも上った。焼却炉や埋立処分場の新設も選択肢として挙がったが、いずれも建設地の選定や建設と運用・維持のコストを理由に断念。ごみ出しのあり方を見直して、既存の処分場を延命することが決まった。

 1998年、カン、ビン、ペットボトルの資源ごみ3品目から分別回収をスタートした大崎町は、10年後には埋め立てごみの80%以上の減量化に成功する。埋立処分場の寿命を40年以上延ばしたおかげで、処分場は2060年ごろまで使えるようになった。

大崎町のごみの分別・回収の品目(資料:大崎町)
大崎町のごみの分別・回収の品目(資料:大崎町)
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 現在、大崎町はごみを27品目に分別し、「一般ごみ」「資源ごみ」として回収している。一般ごみは週1回、回収され埋立処分場に搬入される。資源ごみは町が委託した民間事業者「有限会社そおリサイクルセンター」で、さらに細かく55種類に分別されて再資源化。生ごみ・草木は、同センターの「大崎有機工場」で完熟堆肥になり、販売されている。

そおリサイクルセンターに集められた資源ごみ(写真:志鎌康平)
そおリサイクルセンターに集められた資源ごみ(写真:志鎌康平)
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そおリサイクルセンターのみなさん(写真:志鎌康平)
そおリサイクルセンターのみなさん(写真:志鎌康平)
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大崎有機工場で堆肥化される生ごみ(写真:志鎌康平)
大崎有機工場で堆肥化される生ごみ(写真:志鎌康平)
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 その結果、大崎町は2006〜2020年の間に、自治体別一般廃棄物リサイクル率日本一を14回も達成した。2020年度のリサイクル率は83.1%である。全国平均が20%と聞けば、大崎町のリサイクル率がいかに高いかが分かるだろう。