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人間の脳に迫るコンピューター(上)

2014/01/20

Agam Shah IDG News Service

 科学者たちは何十年も前から、人間の脳と同じような知性を持つロボットの開発を夢見てきた。コンピューティングの究極とも言える目標だ。そして、2013年はこの分野でさまざまな成果が見られた。現在、学習能力や知性的な判断能力を持つインテリジェントなコンピューターの開発を目指して、多種多様な取り組みが進められている。

Neuromorphic computing system at the University of Heidelberg, Germany

 2013年にはシリコン・ブレインの研究開発に膨大な資金が投じられた。神経系を模したチップで脳に近い機能を実現し、コンピューターを賢くさせるというものだ。

 こうしたチップが完成すれば、目と耳を持つ知的なロボットを開発して、車の運転や物体の認識、腐った果物の判別といった機能を実現できる可能性がある。また、このチップ技術を活用して、人間が脳で機械を操作したり、モバイルデバイスがユーザーの行動を予測したり、Google Glassなどのウエアラブル端末で病気を診断したりといった機能も実現できるかもしれない。遠い未来には、ニューロ・チップの移植によって、人間の知力、視力、認識力を強化できる日が来るかもしれない。

 科学者は、こうした可能性を秘めたニューロ・チップによる高度なコンピューターの開発を目指している。脳の神経回路に似た構造を持ち、可能性や連想から見いだしたパターンに基づいて記憶や判断を行えるコンピューターだ。現在複数のプロジェクトが進行中で、米政府、EU(欧州連合)、民間団体などが資金を投じている。脳のニューロンとシナプスの働きを再現するために、従来のコンピューターの回路とは異なる設計のメモリー、演算処理、通信機能の開発に取り組んでいる段階だ。

 脳は、ニューロンと呼ばれる1000億の神経細胞が互いにつながり合った構造をしており、電気信号と化学信号を使って情報を伝達している。各ニューロンは並列に処理を行い、シナプスと呼ばれる数兆の接触部を通じて他のニューロンとやりとりする。脳の学習に応じて、ニューロン同士の結び付きは強まったり弱まったりする。現在のコンピューターのプロセッサは、回路の構造や電気信号の処理が脳の神経回路とは異なる。研究者は、脳のような並列処理の実現に力を入れている。これには、消費電力の抑制をはじめとするさまざまな効果がある。

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