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プリペイドSIMの現状が常時接続パソコン普及の妨げに(後)

2019/09/26

Mark Hachman PCWorld

 LTE対応ノートパソコンを使ったことがある人は、モバイルコンピューティングの本当の喜びを知っている。いつどこでもネットにつながるのはこの上ない喜びだ。しかし、低料金で再チャージ可能なプリペイドSIMを携帯キャリアが売ってくれないことには、この認識が広く共有されようはずがない。

前回から続く)

eSIMもテザリングも救いにはならず

Credit: Credit: Mark Hachman / IDG

 新たなデバイスへの対応を消費者から求められるのは、携帯キャリアにとってギクリとする話だ。Apple Watchで身近になったeSIMなら、物理的なSIMカードが不要で、利用者が通信キャリアにデバイスを登録すれば使える。SIMカードを盗まれる心配がない点など、消費者にも多少のメリットはあるが、実のところeSIMは、消費者より通信キャリアにとっての柔軟性の方が大きいという主張もできよう。ノートパソコンも例外ではない。

 筆者が見る限り、問題を技術的に解決する方法はないように思える。ノートパソコンをモバイルデータ通信に接続する手段としてこれまで使われてきたテザリングも、解決策にはならない。

 テザリングでは、スマホをワイヤレス接続のゲートウエイとして使い、スマホとノートパソコンの間は、Wi-FiやBluetooth、あるいはUSBケーブルでつなぐ。この手法は、単に問題のありかが変わるにすぎない。まず言えるのは、ノートパソコン1台で済むはずのところが、スマホとノートパソコンの2台使いとなり、両方の貴重な稼働時間を同時に消費するということだ。また、筆者の経験からすると、Windowsでは、両デバイス間のWi-Fi接続の確立や発見に1~2分を要することがあるし、アイドル状態が少しでも長びくと、両デバイスのどちらかが接続を切ってしまう。空港や会議場、コンベンションホールでネットワーク接続を試してきた長年の経験からすると、厳しい状況下ではWi-Fi接続が滞ることの方が依然として多い。接続先がスマホにせよ、現地のサービスにせよだ。また料金の問題もある。筆者の場合、無制限のはずのT-Mobileのサービスが、テザリングでは月2Gバイトという制限付きに逆戻りする。

 モバイルデータ通信も、コンベンションセンターの奥深くでは必ずしも接続が安定しない場合はある。しかし、4G接続が着実に改善し、5G接続も後に続く中で、従来のような重いWi-Fiより、モバイルデータ通信の方が、つながりやすさや通信速度で上になるとの予想も立つ。その場合、消費者の期待に応えられるどうかは、通信キャリアの責任だ。

 問題を複雑にしているのは、ノートパソコンのメーカーの中に、特定の通信キャリアと独占的契約を結んでいるところもあることだ。この点については、アナリストのPatrick Moorhead氏も最近指摘している。いずれにせよ、通信キャリアやプランを消費者が自由に選択できないことは、消費者にとっても、生まれつつある常時接続パソコンの市場にとっても、困ったことである。

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