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企業の包括的なデータ資産管理を支える、データガバナンスとは(上)
2020/03/02
データガバナンスの枠組み
データガバナンスは、組織の包括的なデータマネジメント戦略を支える役割を果たす。データガバナンスの枠組みを取り入れることで、データの収集、管理、保護、保管を、全体論的なアプローチのもとに進められる。データガバナンスの枠組みの対象範囲を理解するうえでは、DAMAのホイール図が参考になる。データガバナンスを中心として、データマネジメントの知識領域を車輪状に配置した図だ。データガバナンス以外の知識領域は以下の10個で、それぞれ次のような要素を持つ。
- データアーキテクチャ:エンタープライズアーキテクチャの不可欠な要素であるデータとデータ関連リソースの総合的な構造
- データモデリングとデザイン:分析、設計、構築、テスト、保守
- データストレージとオペレーション:構造化された物理データ資産ストレージの展開と管理
- データセキュリティ:プライバシー、機密性、適切なアクセス権の確立
- データ統合と相互運用性:取得、抽出、変換、移動、提供、複製、フェデレーション、仮想化、オペレーションのサポート
- ドキュメントとコンテンツ:構造化されていないソースに含まれているデータの保管、保護、インデックス作成、アクセス実現、および構造化データとの統合と相互運用性の実現
- 参照データとマスターデータ:共通データの管理による冗長性の抑制、およびデータ値の定義と使用の標準化によるデータ品質の向上
- データウエアハウスとビジネスインテリジェンス(BI):分析データ処理の管理、およびレポート/分析用の意思決定支援データへのアクセスの実現
- メタデータ:メタデータの収集、分類、保守、統合、統制、管理、提供
- データ品質:定義、監視、データ完全性の維持、データ品質の向上
データガバナンスの戦略を確立するうえでは、上に挙げた要素をそれぞれ考慮する必要がある。
Business Application Research Center(BARC)では、データガバナンスをビッグバン的な取り組みとして進めてもうまくいかないと注意を促している。データガバナンスのプロジェクトは非常に複雑で、長期にわたることから、参加者の信頼や関心が次第に失われていく恐れもある。そこで、まずは対処可能な範囲や特定のアプリケーションのみを対象としたプロトタイプのプロジェクトに着手し、そこで得た教訓を踏まえてデータガバナンスを全社規模に拡大していくことをBARCは勧めている。
BARCでは、データガバナンスプロジェクトの一般的な手順を次のように示している。
- 目標を定義し、メリットを理解する。
- 現状分析や差異分析を行う。
- ロードマップを導き出す。
- ステークホルダーの理解を得て、プロジェクトの予算を確保する。
- データガバナンスプログラムの構築と計画を行う。
- データガバナンスプログラムを遂行する。
- 監視と統制を行う。