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Microsoftが延命したYammerの今後は(下)
2020/03/27
米Microsoftのコラボレーション戦略というと、最近の主役は「Teams」かもしれない。だが、2012年に12億ドルで買収したエンタープライズソーシャルネットワーク「Yammer」のことも、決して見捨てたわけではない。
(前回から続く)

Yammerを広く導入している大手企業では、Yammerをどのように活用しているのだろうか。例として、ヘルスケアテクノロジーを手がける米Cernerを見てみよう。Cernerは、Office 365の導入を機に、2018年に全従業員をYammerに登録した。
「現在、Cernerの2万9000人の従業員のほぼ全員がYammerを利用している。そのうち8割近くは直近の四半期にYammerにアクセスし、数百万のアクティビティを実行した」と、Cernerのシニアテクノロジーアーキテクト、John Moore氏は言う。
Cernerでは、ナレッジの共有や社内のコミュニケーションのほか、共通の関心を持つ従業員のグループ作りにYammerを活用している。また、全社規模で幹部と従業員が意見交換を行える場にもなっている。このYammerで業務上の問題が解決された例もある。Yammerでつながった2人の社員が協力して、あるプロセスを自動化したことで、手作業の業務を1000時間分以上も削減できたというものだ。
「この規模の企業になると、情報の発見や共有をスピーディかつ効果的に行えるかどうかはとても重要だ」とMoore氏は言う。
Yammer、Teams、SharePointでは、用途がそれぞれ異なると同氏は話す。「互いに知っている者同士の共同作業にはTeamsを使う。一方、必ずしも知り合いではない者同士でコミュニティを構築するというニーズもあり、その時はYammerを使う」
コミュニティの構築
MicrosoftのYammer戦略で重要なポイントの1つは、社内でのコミュニティ作りに重きを置いていることだ。特に、大規模な企業や、従業員が多岐にわたる企業でのコミュニティである。部署や勤務地、共通の関心など、あらゆるものがコミュニティのくくりになり得る。
MicrosoftのSitaram氏は言う。「Yammerが本領を発揮するのは、さまざまな領域や言語に複雑に展開している大企業の場合だ。従業員が数十万人に及んで、さまざまな業務部門が入り乱れている巨大企業や、持ち株会社制になっていて、中核組織の従業員と現場の従業員とで構成されている企業だ」
こうした狙いに合わせて、これまでのYammerグループは、Yammerコミュニティという名前に変わった。
「指向を明確にする意図的な変更だ。これまでも、Yammerの中でグループを作成できたが、グループの名称はチームやチャネルの名称と非常に近かった。Yammerの中心的な用途は、コミュニティを軸とする使い方だと我々は考えた。このツールの使い方について、狙いを明確にしたかった」