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ハイブリッドマルチクラウドについての考察(下)

2020/09/04

Isaac Sacolick InfoWorld

 自社のデータセンターでIT運用に長年携わってきた人に聞けば、パブリッククラウドよりプライベートクラウドが優れている点を数多く挙げることだろう。信頼性、スケーラビリティ、セキュリティなどの理由を挙げて、インフラの選択、展開、統制を自ら管理することで高い水準を実現できると主張しそうだ。

前回から続く)

Credit: cloud

 別の例として、イベント駆動型アーキテクチャーに基づく制御システムを稼働する場合はどうだろうか。大手の広告代理店が利用するシステムで、多数のSaaSプラットフォームから行動データを収集するのだとしたら、おそらくパブリッククラウドにデプロイすることになるだろう。一方、工場内のIoTセンサーのデータに対して利用するシステムで、その工場が遠く離れた南米の地にあるとしたら、エッジのプライベートクラウドにデプロイしてデータを処理した方がよいのかもしれない。

 これらの例は、パブリッククラウドとプライベートクラウドの構成を考えるうえでの2つの重要な概念を示している。1つはデータグラビティだ。大規模なデータセットには、そのデータを利用するアプリケーションやサービスを引き寄せる重力が生じるということを示す言葉である。最大のデータセットのすぐ近くにアプリケーションやサービスをデプロイする方が、速度、コスト、信頼性の面で優位になる。もう1つはレイテンシーだ。運用場所が遠く離れていて、広帯域幅で信頼性の高いネットワーク接続の確保が難しい場合や費用が高い場合には、レイテンシーがポイントの1つとなり得る。その場合には、プライベートクラウドをエッジに導入する方が、パフォーマンスやコストの面で優位性がある。

身体の安全にかかわるアプリケーション

 eコマースアプリケーションに関しては、適切に設計されていれば、パブリッククラウドでもプライベートクラウドでも信頼性の高い稼働を実現できる場合が多く、どれを利用するかは、コストやコンプライアンス、運用上の各種要因に基づく判断となることが多い。ビジネスワークフロー、アナリティクス、トランザクション、コラボレーションを支えるアプリケーションの多くも同様である。

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