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マネジメント

職場の構造的人種差別に関してITリーダーが果たすべき役割(中)

2020/09/30

Damon Carter CIO

声を上げられなかった少数派

 食料品店の店員、荷物の配達人、医療介助といった現場の仕事に携わる人は、従来は裏方の扱いを受けたり、社会で目立たない存在として扱われたりしてきた。しかし現在では、日々のヒーローとしてしかるべき称賛を受けている。コロナ渦で地域社会を支える重要な役割を担っているとの認識からだ。それと同じように、黒人の従業員や、軽視されてきたその他のグループも、職場の日陰者と思えるような扱いを受けることを何世代にもわたって余儀なくされてきた。米PsychCentralの記事でMargaret Rutherford氏が指摘しているように、ジェンダー、人種、経済状態、婚姻関係などの理由で当人が日陰者のように感じたり、偏見や不寛容な扱いへの不安から真の姿を隠したり、人間性ではなく職業で判断されたりといった背景のもとで、自分が重要な存在でないように考えている場合がある。

 こうした力学が根強く残ってきた背景には、黒人の従業員が仕事で成功を収めるために取り入れることを余儀なくされてきた振る舞い方がある。Center for Talent Innovationは2017年に、次のような調査結果を発表している。「黒人のホワイトカラーの38%は、偏見を受けた経験について自分の勤務先で率直に声を上げることは決して受け入れてもらえないと感じている。そして、そのような沈黙があると、職場で孤独や疎外感を倍以上感じやすくなる」

 こうしたことから、職場での人種的格差についてオープンに対話することを有色人種の従業員に持ちかけても、最初は当然ながら疑いや動揺を感じる可能性があり、ITリーダーはそのことを認識しておく必要がある。個人的体験について声を上げるというのは、黒人が仕事を続けていくために身に付けてきた振る舞い方とは相反すると理解しなくてはならない。米Information Technology Senior Management Forum(ITSMF)の会長兼最高経営責任者(CEO)のViola Maxwell-Thompson氏がCIO.comのインタビューで語っているが、黒人は小さい頃から、目立たないようにして自分の仕事を終わらせること、波風を立てないこと、仕事をクビになりかねない過ちを犯さないことを言い聞かせられている。

 何世代にもわたる差別的扱いの影響や、職場での人種的格差に関する議論が歴史的に欠如していたことが積み重なって、黒人の従業員は、従業員エンゲージメントの水準が低下しかねないことが多い。Center for Talent Innovationの調査結果によると、差別的経験について声を上げる機会がない黒人の従業員は、エンゲージメントの欠如の可能性が13倍になっている。

 ITリーダーは、どうすれば有色人種の従業員との信頼関係を真摯に構築できるかを考える必要がある。まずは、辛抱強く取り組むことと、不利な立場に置かれてきたグループの従業員に個人的経験をオープンにしてもらうタイミングを理解することだ。何より重要な点としてITリーダーが頭に入れておく必要があるのは、このフィードバックを得ることの主役はリーダー自身ではないということだ。これまで声を上げられなかった少数派の人たちと真のつながりを構築することだけを目標に据えて取り組む必要がある。

翻訳:内山卓則=ニューズフロント

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