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クラウドの料金モデルがはらむ11の課題(上)

2021/01/25

Peter Wayner InfoWorld

費用の平等な負担は難しい

 自前でサーバーを購入した場合は、すべてのリソースを完全に利用でき、費用はすべて自分で賄う。一方、共有サーバーの場合は、少しずつ分割したリソースを大勢で利用し、費用も皆で出し合う。だが、均等な割り勘がうまくいくのは、飲食の時くらいだ。その場合ですら、アルコールを飲まなかった参加者は、不満を覚える。

 クラウドのコモディティサービスでは、費用を正確に分け合うことは非常に難しい。ニーズが多い時間帯の処理と、中断や先延ばしが可能なバックグラウンドの処理とで、費用は同じであるべきだろうか。昼夜の違いや太陽光発電の状況に応じて電気代に差がある場合はどうだろうか。SLAを求めている顧客と、ダウンタイムをさほど気にしない顧客とではどうだろうか。

 顧客の目を引く安さながらも、十分な利幅を確保できるような水準の料金を、クラウド事業者は割り出そうとしてきた。各社とも、1台のマシンにかかる費用を大勢で少しずつ負担する料金体系を編み出したが、当て推量の域を出るものではない。

現代のアーキテクチャーではリソース消費が促進される

 数学の世界には、バナッハ・タルスキーのパラドックスという奇妙な定理があり、豆と太陽のパラドックスとしても知られる。豆を有限個の断片に分割し、再度組み合わせると、太陽の大きさにもできるというもの。もちろん、現実世界では成り立たない話だが、数学的な理論のもとでは成立する。

 クラウドも、似たような仕組みを押し進めているように思えることがある。現代のソフトウエア開発では、数十から数百個の小規模なサービスを組み合わせる形で大規模なアプリケーションを構成し、Kubernetesが管理する多数のコンテナでそれぞれのサービスをニーズに応じて稼働する手法が多く用いられる。この構成なら、負荷が高まった時にはインスタンスの数を自動で増やして、ニーズに的確に対応できる。しかし、コンテナやインスタンスが今いくつ稼働しているのか、人間には把握しきれない。明細を見るまでは、文字どおり雲をつかむような話だ。もともと1台のサーバーで動かしていた頃のアプリの小ささと、稼働後に受け取る請求書の大きさとでは、豆と太陽ほどの違いがある。

翻訳:内山卓則=ニューズフロント

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