TOPHardware > オンプレミス向け従量課金型サービス、ベンダー各社がラインナッ...

Hardware

オンプレミス向け従量課金型サービス、ベンダー各社がラインナップ拡充(前)

2021/06/01

Ann Bednarz Network World

 加えて、当面はパブリッククラウドに移行できない処理がかなりあるという点をアナリストらは指摘する。

 パブリッククラウドが企業のコンピューティングにもたらしたインパクトは非常に大きいが、ワークロード全体から見れば、依然としてごくわずかな割合にとどまる。そう話すのは、米Technalysis ResearchのBob O'Donnell社長兼チーフアナリストだ。大半のワークロードは、今もデータセンターやコロケーション施設の中で稼働している。その一方で、企業はパブリッククラウドモデルのさまざまな特徴を高く評価している。「キャパシティが必要になったら拡大し、不要になったら縮小できるという柔軟性は、それに合う企業にとっては実に素晴らしい。そのビジネスモデルは多くの面で魅力的だ」

 法的規制上の理由や、アプリケーションのクラウド対応に必要な労力あるいはスキルの不足といった理由から、ワークロードをローカルで稼働せざるを得ないケースはある。従量課金のハードウエアというアプローチなら、パブリッククラウド型の要素を取り入れながら、ローカル稼働の必要性という現実に対応でき、両方の特長をうまく組み合わせられるとO'Donnell氏は言う。

 アズ・ア・サービスのアプローチでは、拡大縮小や方向転換などの機動性を高めながら、データに対する統制を維持したり、遅延が生じがちなワークロードの処理をオンプレミスでこなしたりできる。そう話すのは、米Moor Insights & StrategyのPatrick Moorhead社長兼主席アナリストだ。

 「既にパブリッククラウドで稼働しているワークロードで、‘バースト’があまり必要ないものが、特に検討に値すると思う。扱うデータが多いものは、その生成元であるオンプレミスへの移行で恩恵が得られる」

 Woo氏も同様の見解だ。「利用に適しているのは、データが非常に多く、入出力のコストがすぐに跳ね上がり、遅延や高速処理が課題となるようなワークロードだ。AIとMLのワークロードや、ハイパフォーマンスコンピューティングのワークロードがそれにあたる。そのほかの対象分野としては、例えば海洋石油掘削装置のように、パブリッククラウドでカバーできない遠隔地の環境でも有益だ。こうした状況では、この手のオンプレミスソリューションを検討することになる」

 一方で、アナリストらが注意を促すのは、この手のモデルに移行する中で出てくる課題が必ずあるという点と、必要な使用量の見積もりに落とし穴があり得る点だ。O'Donnell氏は指摘する。「このモデルでは、IT部門の支払い対象が根本的に変わる。細かい部分をきちんと詰めることが重要だ。文字どおりの従量課金のサービスもあれば、サブスクリプションに近いサービスもある。微妙ながらも重要な違いだ」

 こうした理由から、従量課金型のモデルに拙速に移行するのは避け、たっぷり試行錯誤を重ねる必要があるとO'Donnell氏は言う。「パブリッククラウドでも、移行で恐ろしい体験をしたという話が山ほどあることを忘れてはいけない。必要になった分だけ料金を支払えばよいのは素晴らしいと思って移行したのに、予想よりはるかにコストがかさんだといった話だ」

 Newman氏は現在の動きを前向きに捉えている。「パブリッククラウドとオンプレミスの路線が急速に交わり合い、ユーザーのニーズに応えつつある。期待の持てる兆候だ。事業者間で競争があるのは素晴らしい。そこからイノベーションが促され、製品やサービスにいっそう磨きがかかることが多い」

翻訳:内山卓則=ニューズフロント

↑ページ先頭へ