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IT部門を再創造するためのアイデア5選(後)
2021/09/02
IT部門をなくす
米バイオサイエンス企業Ohana BiosciencesのIT担当バイスプレジデント、Nathan McBride氏は、IT部門のあり方として、まったく新しいモデルを試している。大幅な軽量化と大胆な分散を取り入れたモデルだ。
同社では、複数の部門をカバーする形でITの仕事を担っている社員は2人しかいない。1人は、CIO兼最高情報セキュリティ責任者(CISO)のMcBride氏自身。もう1人は、インフラ、ミドルウエア、DevOps周りの担当としてMcBride氏が設けた職種の社員で、同氏と共に職務にあたっているという。そのうえで、「フルスタック」のITプロフェッショナルを、各部門に1人ずつ配置している。これらの人材は、それぞれの部門の所属社員として、ビジネス問題を解決するためにテクノロジーを適用する権限を全面的に与えられている(ただし、ガバナンス上の一定の要件はある)。
「こうした人材を採用すると、最初の時点では確かにコストが余分にかかる」とMcBride氏は認める。だが、ビジネスのテクノロジーがますます高度化する中、ビジネスニーズの変化に対応していくうえで、このモデルの方が俊敏性や即応性は高い。同社の社員が利用するツールやサービスの中には、専門性が非常に高いものも多くあるため、ITのゼネラリストがツールセットの管理で多くの付加価値を与えることは難しくなっているとMcBride氏は言う。
同社の社員のうちで、計算生物学を専門とする人材の中には、その仕事でAmazon Web Services(AWS)を利用するという面ではAWSのエキスパートでもかなわないような優秀な社員が20人はいるという。このためMcBride氏は、AWSのエキスパートを採用する必要性は感じていない。代わりに、少人数による一元的なガバナンスモデルを取り入れることにより、AWSの管理統制やフレームワークの提供以外の面では、こうした優秀な社員が好きなように取り組めるとのことだ。
(了)