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AIで進化するチャットボット、広がる導入(前)
2021/10/26
チャットボットとは、人間との会話を模したやりとりをテキストや音声で実現するためのソフトウエアである。バーチャルアシスタント、インタラクティブエージェント、デジタルアシスタント、対話型AIといった表現が使われる場合もある。アプリケーション、Webサイト、メッセージングプラットフォームなどに組み込まれることが多く、ユーザーサポートを自動で提供する用途などに使われている。

米調査会社Constellation Researchのバイスプレジデントで主席アナリストのLiz Miller氏は次のように説明する。「チャットボットは、自然言語処理の適用例の1つで、人間のユーザーとデジタルインタフェースとの間で双方向のやりとりを実現できる。現時点ではテキストベースのものが多いが、音声で会話できるチャットボットも増えつつある」
チャットボットの原点は、メニューやオプションを提示してユーザーに選んでもらう方式のインタフェースやデシジョンツリー、あるいは、「アカウント解約」など特定の言葉を見つけ出すキーワードベースのツールにある。現在のチャットボットは、AIや機械学習を活用して、より人間に近いやりとりを実現している。
AIのシステムが進化する中、チャットボットの活用も大きく伸びている。インドの調査会社Mordor Intelligenceによると、世界のチャットボット市場は、2021年から2028年の間に年平均成長率35%で成長し、市場規模が1020億ドルに達する見通しだ。
チャットボットの用途
チャットボットは、顧客向けや従業員向けのプラットフォームやコミュニケーションチャネルで使われており、Webサイト、ソーシャルメディアプラットフォーム、社内コミュニケーションシステムなどに取り入れられている。また、CRM、カスタマーエクスペリエンス、HR、ヘルプデスクなどのプラットフォームをはじめ、主要なエンタープライズソフトウエアシステムにも次第に組み込まれつつある。
チャットボットは、定型的な質問に回答できるほか、自然言語処理エンジンを生かして、独特の言い回しの質問にも対応できる。そのほか、利用者や従業員が特定の流れで行う手続きを支援したり、製品やサービスの利用方法を教えたりといった用途にも使われている。
具体例としては次のようなものがある。
- 世界保健機関(WHO)が提供している「Health Alert」は、WhatsAppを通じて新型コロナウイルス関連の質問に回答するチャットボットで、英語、アラビア語、ヒンディー語、イタリア語、スペイン語などの言語に対応している。
- 米Bank of Americaのモバイルアプリに組み込まれているアシスタント「Erica」は、英語で多種多様な質問に答える。
- 米Capital Oneのアシスタント「Eno」は、Webサイトやモバイルアプリ、テキストメッセージから利用できる。
- 米Domino's Pizzaのチャットボット「Dom」は、ピザの注文を受けることができる。