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広がりつつあるインナーソースの文化、3社の事例(上)

2021/11/29

Scott Carey InfoWorld

 インナーソース(inner source)とは、企業内でのプロプライエタリソフトウエアの開発にオープンソースの手法を取り入れることを表す。エンジニアリングの方法論の1つとしてTim O'Reilly氏が考案した言葉である。企業の垣根を越えてコントリビューションを行うオープン化ではなく、1つの企業の中にある複数のチームの間でのオープン化を目指す。

Credit: Thinkstock
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 この方法論では、オープンソースコミュニティで使われている共通の手法やツールを活用できる。社内のコントリビューターの一群が、必ずしも自分の管轄ではないコードも含めて、幅広く連携していく。一般には、共通のコードリポジトリ、プルリクエスト、コメント、包括的なドキュメントなどを利用する。

 インナーソースは、ソフトウエア開発手法のモダナイズを目指している従来型の大企業で広がりを見せている。こうした企業では、コードに対する認識も、担当チームが厳重に保管しておくべき知的財産というよりは、コラボレーションで生まれる再利用可能な資産という見方に変わりつつある。また、インナーソースの手法では、プルリクエストを通じて、安全性と透明性のある形で目的の変更を自ら加えられ、上流の障壁を排除できる。

 企業や組織によっては、インナーソースの導入にあたって、文化を大きく変えることが必要な場合もある。一方で、インナーソースの導入は、コードの品質、信頼性、セキュリティーの向上につながる。また、長年にわたって障壁となっていたサイロを解消して、コラボレーションや開発のベロシティを強化することにもなる。こうした面は、パンデミック下で重要性が高まった。

 米InnerSource Commons Foundationの創設者、Danese Cooper氏は言う。「インナーソースで実証されたことが何かあるとすれば、非同期チーム間で大規模なピアベースのコラボレーションを行った場合でも、同じ室内・同じ時間帯で密接な統制のもとに各チームが作業した場合と比べて、同様の成果を上げられるという点だ」。パンデミック下の業務遂行で重要な意味を持つこうした特徴は、インナーソースの効果を裏付けるものとなり、導入を促すことにつながった。

 ここからは、インナーソースを実際に導入した3社について、採用の理由や得られた成果を見ていく。

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