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サイバー保険の動向(中)
2021/12/22
サイバー保険は、サイバーリスク保険やサイバー賠償責任保険とも呼ばれる。サイバー攻撃などのセキュリティー侵害で生じる損失や復旧費用への補償が得られ、リスクを軽減できる。
(前回から続く)

ランサムウエアが増えたことで、サイバー保険の加入を考える企業も増えたとBailey氏は言う。他社が金銭的に大打撃をこうむったという話を見聞きすることがきっかけだ。「身代金そのものを別にしても、攻撃からの復旧には多額の費用がかかる。2021年には、保険金支払額の全体に占める侵害対応費用の割合が、29%から52%に上昇した」
しかし需要が増える一方で、供給はあまり追いついていないとBailey氏は指摘する。「保険会社は、保険でカバーするリスクに関して、料率や基準を引き上げている。補償自体についても、ランサムウエアの攻撃に対する補償を減らしたり、ある程度の規模の企業に対する支払限度額を抑えたりした保険会社もある」
補償をあまり変えていない保険会社でも、契約者側が従うべき条件を取り入れている可能性が高く、主要なセキュリティー対策の励行を条件にしているとBailey氏は言う。
企業各社がランサムウエア攻撃の予防や復旧に力を入れる中で、最近は保険金支払請求が減少しているとのデータもあり、加入を考えている企業に対する保険会社の厳しい見方が和らぐ可能性も考えられる。また、英保険会社Beazleyが11月初めに発表した2021年7~9月期決算によると、サイバー保険の支払請求が減少傾向にある一方で、サイバー保険の保険料は上昇を続けており、同社の正味収入保険料は増えた。