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MPLSが生きながらえる理由(上)
2022/04/11
宅配で届く荷物の配送状況を細かくチェックしてみると、出荷元から配送先まで必ずしも直送されるわけではなく、各地の中継拠点を転々としてから届くことが多い。インターネットのIPルーティングは、いわばこれと似たイメージだ。

ルーターが受け取るIPパケットには、宛先のIPアドレスの情報が記されている。しかし、そのパケットを目的地まで届ける手順や、経路でのパケットの処理方法については、特に指定はない。
パケットを転送するルーターは、一つひとつのパケットに記されているネットワーク層のヘッダーに基づいて、転送先についての判断を個別に行い、次にどこに送ればよいかを考える。ルーターはこの処理を、ルーティングテーブルと呼ばれる複雑な表を参照しながら行う。
この処理は、パケットが最終目的地に届くまで、中継点のルーターのそれぞれで繰り返される。だが、このようにホップごとにルーティングの判断を個別に行う方法は、ビデオ会議やVoIPなど、遅延に対してシビアなアプリケーションにとっては、パフォーマンス低下の原因になり得る。
MPLSとは
MPLS(Multi-Protocol Label Switching)とは、このように宛先のアドレスを見てルーティングを行うのではなく、事前に付加した「ラベル」と呼ばれる情報に基づいてルーティングを行う手法である。
MPLSは、企業のネットワークで20年以上にわたって使われてきた実績がある。例えば、遠隔地の支店から、本社やデータセンターのアプリケーションやデータにアクセスする必要がある場合に、MPLSが使われてきた。