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米国のTPP離脱、クラウド事業者への影響は必至

2017/01/30

Kenneth Corbin CIO

通商に関する真の方策を待望

 TPPから離脱する大統領令にTrump氏が署名したことは何ら意外ではない。同氏は、大統領選の最中から、TPPをはじめとする貿易協定を舌鋒鋭く批判していた。またTPPは、連邦議会上院で承認される見込みも薄れていた。

 上院少数党院内総務のChuck Schumer氏(民主党、ニューヨーク州)は、TPP離脱の大統領令を受けて、次のような短い声明を発表した。

 「Trump大統領が就任するずっと前にTPPは死んでいた。我々は、通商に関する真の方策を待ち望んでいる」

 その方策というのが、デジタル環境に関してどのようなものになるのかは、今のところ定かではない。だが、国内企業を優遇したり、厄介な規制要件を遵守するよう米国企業に義務づけたりなど、他国の市場で保護主義的な政策が取られることに、かねてから不満を表明していた数多くのテクノロジー企業にとって、TPPの中には魅力的な要素もあった。

 Barfield氏が例に挙げたのは、TPPの条項のうち、国境を越えるデータに対して加盟国が障壁を課さないよう定めた項目だ。海外進出の意向を持つクラウドサービス事業者にとって極めて重要な項目である。また、TPPの合意にあたっては、デジタルコンテンツへの関税を撤廃することや、サービス事業者が他国で事業を展開する際にその国内に物理拠点を設置するよう義務づける現地化の要件をなくすことが追求された。

 米McKinsey & Companyのパートナーで、デジタルエコノミーに前向きなエコノミストのSusan Lund氏は、依然として通商の妨げとなっている障壁が存在することを挙げた。例えば、消費者のプライバシー保護やサイバーセキュリティに関する基準や期待がまちまちであることや、コンテンツのブロックなど各種の形態による検閲などだ。

 一方でLund氏は、デジタル貿易に伴う経済価値が急増していることを指摘した。電子的に配信される製品やサービスは、国の経済で次第に柱の1つとなりつつある。

 「今やデジタル貿易は、各国にとって、国境を越えた物品の貿易と同じくらいの価値がある。したがって、新時代の通商政策では、データの自由な往来を止めかねない動きに注意する必要がある。我々はそれをデータ保護貿易主義と呼んでいる。デジタル貿易が次なるフロンティアであることと、それが世界経済の成長を促していることには、疑いの余地はない」

(了)

翻訳:内山卓則=ニューズフロント
記事原文(英語)はこちら

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