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医療分野でクラウドの利用が主流に(前)

2015/10/27

Clint Boulton CIO

 病院などの医療機関でITを担当しているCIO(最高情報責任者)に、クラウドで稼働しているソフトウエアが全体の何割あるか尋ねたとしよう。2012年の時点であれば、その数字は低かったはずだ。しかし、2015年から2016年へと向かいつつある現在は状況が変わった。クラウド事業者が、個人医療情報の保護に関して、米連邦政府の規則を遵守するとの契約を結ぶようになっているからだ。これを受けて、医療機関がクラウドコンピューティングを導入し、組織の俊敏性を高める動きが見られる。一般企業のCIOにならって、医療機関のCIOの間でも、クラウドは主流になりつつある。

 2012年と2015年の違いとして大きいのは、医療個人情報の保護に関して、クラウド事業者がHIPAA BAA(business associate agreement)の契約締結に積極的になったことだ。医療ITについて定めた米連邦政府のHITECH法(Health Information Technology for Economic and Clinical Health Act)の下では、クラウド事業者は、医療個人情報の取り扱いと使用について、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)で定められたプライバシーとセキュリティの規定を遵守する必要がある。BAAはそのための契約だ。

 BAAの下では、クラウド事業者が米公民権局の監査を受けたり、データ流出の報告と対応の方法について詳細に説明したりすることが必要になる。CIOらの話によると、クラウド事業者は当初はBAAの締結を拒んでいた。だが、2012年後半に米MicrosoftがBAAの締結に正式に合意し、翌2013年には米Amazon Web Services(AWS)と米Googleもこれに続いた。医療機関としては、オンプレミスのインフラや面倒なアプリケーション管理に別れを告げて、クラウドへの移行で俊敏性を高めるという動きが突如として可能になったわけだ。そして、クラウドはむしろ好ましい選択肢にすらなった。

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