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金融機関でのAI活用、パイロットから実用化へ(上)

2019/06/03

Lucas Mearian Computerworld

 例えば、貸付限度額の自動引き上げといった単純な処理を見ても、通常は財務上のシンプルな計算に基づいて判断し、カードを継続的に利用して期限内にきちんと返済している顧客は限度額が増える。だが、限度額の引き上げを一人ひとりの顧客がどのように認識したかについては、ほとんど調査がなされていない。

 「うれしいと思うのか、それとも、ありがた迷惑に感じるのか。シンプルな問いだ。限度額引き上げの要件を満たす顧客かどうかを判断するのは簡単だが、そうすることがその顧客にとって本当にふさわしいだろうか。そこで(顧客の履歴を綿密に把握することで)、限度額引き上げを提案するのか、それとも自動で引き上げるかという判断ができる。それが人間味のあるAIだ」

 現状では、金融機関の業務は区分化されており、他社を買収する中で加わっていった独自システムやレガシーシステムの数々を基盤として業務を進めている。こうしたシステムは、他のCRMシステムやERPシステムとの連携がない。例えば、それぞれの顧客の当座預金、普通預金、クレジットカードなどの履歴は確認できても、住宅ローンのバックグラウンドは必ずしも一元的に参照できない。こうした情報を統合すれば、財務状況の全体像に基づいた金融商品を新たに提案しやすい。

 AIをデータサイエンスやテクノロジーという観点で狭く捉え、会社全体に適用できる戦略的なビジネスツールとして捉えなかった結果、早々に行き詰まる企業も少なくない。そう話すのは、米Wells FargoでAIエンタープライズソリューションの責任者を務めるChuck Monroe氏だ。

 「AIのテクノロジーは、革新的な変化を促す可能性を間違いなく秘めている。会社全体にわたって有益なインサイトを引き出せるようにデータを編成することが重要だ。また、機会を明確に定義することや、エンドツーエンドのプロセスを理解することも大事だ。独立したAIソリューションでビジネス目標を達成できることはまずない」

 Wells FargoがAIエンタープライズソリューションのチームを立ち上げたのは、今から1年半前の話だ。データ管理チームやITチームと密接に連携して、全社でのAIの導入を加速するためのチームとして、カスタマーエクスペリエンスからオペレーション、リスクマネジメントまで、あらゆる面に関与する。

翻訳:内山卓則=ニューズフロント

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