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金融機関でのAI活用、パイロットから実用化へ(中)

2019/06/05

Lucas Mearian Computerworld

 金融業界はAIの活用に巨額の資金を投じつつある。AIシステムへの支出額の見通しを産業分野別で見た場合、銀行が2019年にAIに投じる額は56億ドルで、小売に次ぐ第2位となっている。

前回から続く)

Wells Fargoの取り組み

Credit: MetamorWorks / Getty Images

 Wells FargoがAIの活用に乗り出したのは、米FacebookのMessengerのチャットボットをテスト導入したのが最初だ。2017年4月から1年ほど運用し、顧客とのやりとりの強化や円滑化にどのようにつながるかを評価した。最近では、Wells Fargoのモバイルアプリの中でバンキング支援のパイロットを短期間実施し、対話型のバンキング機能によるカスタマーエクスペリエンスの向上や、AIを使ったバンキング情報の提供をどのように実現できるかを探った。

 これまでのところWells Fargoは、実稼働用のシステムの強化はしていない。

 「お客様がチャットボットをどのように使いたいのかについて、多くを学んだ。今後のエクスペリエンス構築の参考になる。例えば、口座情報を確認できる機能や取引の分析機能は利用者に好評だった。送金や決済など、今後チャットボットへの搭載を望む機能についても、非常に有益なフィードバックを得た」とMonroe氏は話す。

AI導入の第一歩

 AIの開発者探しは簡単ではない。躍進し始めたばかりの分野で、人材は不足している。AIや機械学習のテクノロジーの開発者より、ルールベースのテクノロジーの開発者を見つける方が容易である。そう話すのは、米Deloitte Consultingでロボティックオートメーションやコグニティブオートメーションなどを担当するSridhar Rajan氏だ。

 企業がAI開発チームを立ち上げてAIを導入していくうえでまず欠かせないのは、自社のビジネス目標を明確にすることと、AI開発者を自前で育成するのは簡単ではないと認識することだ。膨大な教育とトレーニングを必要とする複雑な分野である。必要なのは、AIテクノロジーへの十分な理解とビジネスへの洞察力が結び付いている開発者だとRajan氏は言う。

 「ビジネス知識に重心が移りつつある。『機械学習をどこに適用したらよいだろうか』という問いはしない方がよい。まずは解決すべきビジネス問題を見いだす必要がある。少数精鋭の人材を採用し、センター・オブ・エクセレンスを通じて、核となる小規模なチームを構築する。インキュベータープロジェクトと同じような形だ」

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