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金融機関でのAI活用、パイロットから実用化へ(下)

2019/06/07

Lucas Mearian Computerworld

 Wells Fargoの場合は、詐欺の可能性がある案件を検出したり、その優先順位を継続的に更新したりできるAIモデルを検討した。こうしたモデルを利用できれば、高リスクの案件として社員に調査を委ねる件数が大幅に減る。

 Monroe氏は言う。「当社が扱うデビットカード取引で、疑わしい恐れがあるとしてマークされるものは何十万件とある。こうした手法を取り入れることで、正常な取引の誤検出が減り、これまでよりシームレスで安全なカスタマーエクスペリエンスを維持しやすくなる」

 Deloitteの顧客企業の例では、あるグローバル金融機関(プライバシー上の理由で具体名は控えるとのこと)が、経費明細書やその裏付けとなる領収書の有効性と正確性を確認するための手作業に苦労していた。そこで、AIを活用して、明細書や領収書の読み取り、重要なフィールドの検証、概要の取りまとめを自動化した。さらに、このAIプログラムは、すべての入力や報告を一元的な場所に保存することで、監査証跡を実現した。

 このシステムによって、経費の項目や領収書を人間が確認する作業に要していた時間を、年に何千時間も削減できた。また、ルールへの非準拠の検知も日常的に行われ、ポリシー外の精算を抑えられるようになった。さらに、検証のプロセスが整理されたことで、詐欺の可能性があるものを見つけやすくなった。

 顧客情報の一元的な把握を目指す企業には、レガシーデータシステムとAIとの連携という課題が依然として残っている。情報がスムーズに流れる1つか2つのデータプラットフォームでまかなえれば理想的だが、それを実現できるケースは多くないとRajan氏は言う。ますます多くの企業が、固定的なインフラで複数のシステムを稼働する手法から、クラウドにデータを置く手法へと移っていく中で、AIはデータの自動管理の強化を実現できる。

 だが、多種多様なシステムの壁を越えてデータを統合するという面に関しても、AIテクノロジーは企業の力になる。

 Rajan氏は言う。「現時点で統合されていないシステムで、銀行取引と住宅ローンのそれぞれのファイルから取得した顧客情報を取りまとめて社員に提示し、その全体像を踏まえて社員が顧客と話ができるようにする用途に、テクノロジーを使えないだろうか。全体のインテグレーションが進む中、現在その部分でAIがギャップを埋めつつあり、AIテクノロジーの加速がその部分で起きていると思う」

(了)

翻訳:内山卓則=ニューズフロント
記事原文(英語)はこちら

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