都道府県CIOフォーラム第18回春季会合の様子。京都市の「京都ホテルオークラ」で開催し、オンラインで全国に配信した。

都道府県CIOフォーラムは、第18回春季会合を2021年2月3日・4日の2日間、京都市で開催した。コロナ禍が続く中、会長(京都府)だけを会場に迎え、講演や報告などはオンラインで配信する形式を採用した。2日間を通じて47都道府県の102人が参加した。3密の回避が求められる「Withコロナ=新常態」での自治体業務や住民サービス提供のあるべき姿について議論した。同時に行われた議事の中で、21年度の会長団体として熊本県を選出した。

都道府県CIOフォーラムとは

都道府県および関係団体のCIO(情報化統括責任者)または情報化推進担当責任者で構成する任意団体。相互の情報共有や民間IT企業も含めた意見交換を通じて、IT施策の推進に寄与することを目的に2003年8月26日に設立された。基礎自治体にもオブザーバー参加を呼びかけており、今回は大阪市、堺市、神戸市が参加した。「日経BPガバメントテクノロジー」が事務局を務めている。

ディスカッション1 DX推進には組織改革が効果的か

 1日目は、住民・事業者に対する行政サービスのデジタル化に関して議論した。都道府県CIOフォーラム会長である京都府政策企画部の原田智情報政策統括監(CIO兼CISO)が来場し、ネットワークを通じて参加団体と意見を交換した。

原田 智氏
京都府 政策企画部 情報政策統括監(CIO兼CISO)(写真:今 紀之、ほかの写真はZoom画面のキャプチャー)

情報政策部門主導の団体が最多

 まず、デジタルトランスフォーメーション(DX)注1)を推進する全庁的なチームが属する部門についての事前アンケートの結果を発表した。最も多いのは情報政策部門(23団体)で約半数、情報政策と業務改革・行政改革の統合部門が8団体、複数の部門の共同管轄が6団体あった。

注1)デジタルトランスフォーメーション(DX)
事業環境の変化への対応のため、ICT(情報通信技術)システムやデータを活用してサービスやビジネスモデルを変革する取り組み。

 所管する組織の整備状況では、5団体が新設と答えた。神奈川県は、行政の情報化と暮らしの情報化の加速を目的に、20年11月1日にICT推進部をデジタル戦略本部室に改組した。単なる名称変更ではなく、傘下のインフラを担当する情報システム課とデータ利活用を担当するICTデータ戦略課という既存の2組織に加えて、デジタル化を推進するデジタル戦略グループを新設した。

 同県は、DX推進の中核組織は情報部門に置いたが、政策部門にもDX推進組織を設置したという。同県総務局の市原敬デジタル戦略本部室長は「生活者目線から不便や不安、困りごとを解消する目的で、デジタルエクスペリエンス推進チームを設置した。デジタル戦略本部室と共同でDXを推進している」と説明した。

市原 敬氏
神奈川県 総務局 デジタル戦略本部室長

 栃木県が総合政策部にデジタル戦略室を設置したのは20年4月。約1年新体制でDXを推進してきた成果や感想を、大森豊デジタル戦略室長が話した。同県では県民を対象としたデジタル戦略室は総合政策部に、庁内のDX化を進める行政改革ICT推進課は経営管理部に所属している。「トップが違うので、やりにくさはあり、今後組織の在り方について再検討する必要がある。ただし、総合政策部に外向けの組織、経営管理部に内向けの組織を置いたのは正しい。現在は、職員同士相互の情報交換はできていて、うまく回っている感覚だ」と大森氏は語った。

 続いて電子申請に話題が移った。事前のアンケートでは、電子申請を含む行政手続きのオンライン化が進まない阻害要因として、押印署名・添付書類の必要性、対面審査の必要性、手数料の納付など制度面の課題が挙がった。同時に、所管課のオンライン化の取り組みに対する意識、職員のデジタル対応スキル、システム改修費用、紙と電子の併用で生じる職員の事務負担の大きさ、オンライン手続きの使い勝手の悪さ、などが指摘された。

 オンライン化の進め方としては、手続き全般の棚卸しをして対象手続きを選定。課題を洗い出して制度慣行を見直し、業務フローを改善してシステムを整備する、という順序の団体が多かった。

 岡山県は、21年1月に行政改革推進室の業務見直しチームと情報政策課のデジタル化推進チームをまとめて、総務部にデジタル推進室を新設した。現在、同室主体で添付書類の整理など住民対応部分の課題整理、行政改革推進室主体で押印義務づけの廃止などの内部業務見直しを進めている。

 県民生活部という異なる部に所属する情報政策課は、汎用の電子申請システムの改修を担当している。「当初から頻繁に会議、打ち合わせを行って進めた。庁内に対する調査や電子化に関する情報提供などは連名で行っている」(県民生活部の庄英利情報政策課長)。

庄 英利氏
岡山県 県民生活部 情報政策課長