申請書記入不要のデジタル市役所

 次に、山口県宇部市総合戦略局ICT・地域イノベーション推進グループの西村宜三サブリーダーが「宇部市デジタル市役所推進基本計画~AI・ICTを活用した行政事務の効率化と住民サービスの向上に向けて」と題して、同市のデジタル市役所計画について報告した。

西村 宜三氏
西村 宜三氏
山口県宇部市 総合戦略局 ICT・地域イノベーション推進グループ サブリーダー

 22年1月の新庁舎竣工を計画している宇部市は、庁舎建て替えに合わせてICT導入による事務効率化と住民サービス向上を重視した「デジタル市役所推進基本計画」を作成した。「地域活力あふれるスマート自治体」を基本理念とした計画には、4つの基本方針がある。(1)市民生活の利便性向上(申請届け出・納付手続きの電子化など)、(2)行政運営の効率化(ICT活用による業務の効率化など)、(3)地域課題の解決(オープンデータの活用推進など)、(4)情報通信基盤の整備(庁内ネットワークの最適化など)である。

 基本方針1の市民生活の利便性向上で、西村氏は「各種申請書を住民に書いてもらわずに、役所側で全て処理することが目標」と強調した。可能な限りシステム化を進め、「市役所に行かなくてもよい」「市役所で待たなくてもよい」「市役所で書かなくてもよい」など、利用者の立場に立った行政サービスの実現を目指す。もちろん、行政側も申請処理を効率よく実行できるようになる。

 20年1月には、タブレット端末を利用した証明書の申請受け付けを導入。本人確認ができれば、電子サインだけで申請できる仕組みだ。今後は証明書発行手続きを、来庁者記載方式から電子サインによる署名方式に変更し、証明書発行手続きのさらなる時間短縮を目指す。

 将来的には、住民情報システムと連動させた総合窓口支援システムの運用も計画している。「少子高齢化という危機に対応するため、行政事務的な業務をデジタル処理へ移行させ、生じたリソースを地域課題の解決にシフトしていきたい」と西村氏は狙いを語る。

 質疑応答では、神戸市企画調整局情報化戦略部の岩﨑林太郎部長が、電子化対象の業務範囲について質問した。西村氏は「窓口で受け付ける業務に関しては、原則として電子化してタブレットで受け付ける。必要に応じて紙も併用するが、その場合でも受付システムと連動させて、電子データで記録を残すようにする」と答えた。