日経BPガバメントテクノロジーは2020年11月11日、「政令市・中核市・特別区CIOフォーラム」を東京都内で開催した。これまで2回の分科会と2018年5月からは年2回のフォーラムを開催しており、今回で8回目となる。

 今回は、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し、フォーラムのプログラム作成に携わるコンテンツ委員の16団体18人が感染防止策を施した都内スタジオに集まり、取り組みの報告と意見交換の様子をインターネットで全国の自治体にリアルタイム配信した。

 報告のテーマは、(1)コロナ下での業務継続のためのICT活用、(2)コロナ関連等の行政手続きのオンライン化・自動化、(3)庁内ネットワークの強じん化における三層の対策の見直し。基礎自治体の情報政策での喫緊のテーマをそろえた。

写真●2020年11月11日に開催した政令市・中核市・特別区CIOフォーラムの様子
写真●2020年11月11日に開催した政令市・中核市・特別区CIOフォーラムの様子
東京都港区の東京ポートシティ竹芝内のポートスタジオからオンライン中継した。コロナ禍のため来場者をコンテンツ委員(16団体18人)に制限したが、オンラインと合わせた参加者は107団体118人で過去最多。
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 政令市、中核市(候補市)、特別区のほか、北海道から沖縄県まで全国の先進的なIT活用に取り組む基礎自治体のCIO(情報化統括責任者)や情報化推進担当責任者が参加。会場のコンテンツ委員とオンラインでの参加者を合わせた全体では107団体118人に上り、これまでで最大規模となった。都道府県をまたがる移動がしにくいコロナ下において、デジタル自治体を目指す取り組みに関する貴重な情報共有・意見交換の場となった。

既存のシンクラがテレワークに奏功

 最初に、東京都町田市総務部の中田直樹情報システム担当部長が、「業務の継続を支えたICT:COVID-19下での感染防止と業務継続の両立」と題して取り組みを報告した。

 多摩地域南部に位置し、神奈川県に隣接した町田市は人口約42万9000人・19万9000世帯。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染防止を目的に、市庁舎で様々な対策を実施した。

 物理的対策としては、庁舎入り口に消毒液を、来庁者用カウンターにアクリル板の仕切りを両脇・対面に設置した。加えて、待ち合いスペースを拡大してイスとイスの間隔を広げた。勤務場所は、密を避けるため、無理に課単位でまとめず、スペース優先で分割した。人的対策としては、職員に定期的な検温と時差出勤を要請。職員にマスクを配布し、窓口業務の際に使用できるようにした。また、コロナ対応で忙しくなった部署へ応援職員を派遣するなど態勢を整えた。

 テレワークも積極的に実施した。コロナ前の19年夏頃は1日平均実施者数が2~3人に過ぎなかったが、20年5月には同270人にも増加。同月の月間のテレワーク実施回数は延べ4832回、実施時間は延べ3万5972時間になった。「12年に新庁舎に引っ越した際に、サーバーにデータやアプリケーションを置いてPC側にデータを残さないシンクライアントを端末の70%程度導入したことが、非常に役立った」(中田氏)。庁外からはVPN(仮想閉域網)を介して、Windowsのリモート・デスクトップ・サービス(RDS)を使う。

 テレワークで実施した主な業務は、財務会計や企画書の作成、メールによる関係機関や庁内の調整、各種補助金の資料審査事務など。「家庭訪問や面接などの場合は個別に記録を作成。個人情報は持ち出さないように注意して、個人情報に触れないメモ部分を複合機でファイルサーバーに取り込んで作業した」(中田氏)。